第5話
「まずは一旦状況を確認しましょう」
私は自分に言い聞かせる意味合いも込めてそう呟いた。まず、私は今判明している事を日記とは別のノートに書き記していった。
「とりあえず、今私は何故か11歳の時まで巻き戻っている……これはほぼ間違いないわね……」
私は軽く溜息を吐きながらそう言った。とても信じられない話であるが、思い出した記憶に11歳時の先程の出来事があった。それに、私もリーシャもその歳の姿にもなってるし間違いないだろう。
「けど、私は確かに17歳のあの日にリーシャを庇って死んだ記憶がある……」
もし、その記憶が無かったら時間が巻き戻っているという事を知らずにそのまま過ごしていたわね。あの日、あの時私は間違いなく嫉妬の魔神に取り憑かれた…………あれ?名前が思い出せない……でも、確かに誰かの攻撃を防ぎきれなくて、その攻撃を受けて死んだのは覚えている……あれだけ鮮明に覚えてるんだから間違いないわ……
「けど……何故か死んだあの日以前から今日……というよりも11歳の時のさっきの出来事までの間の記憶はごっそりと抜け落ちてるのよね……」
私は再び溜息をついてそう言った。11歳の先程の出来事以前の記憶と、死んだ時のあの日の記憶は持ち合わせているのだけど、何故かそれ以外の記憶はサッパリ思い出せない。しかも、嫉妬の魔神が誰に取り憑いたのかさえ思い出せない始末だ。
「唯一の救いは魔力量と使える魔法は17歳の時と同じって事かしら」
先程試しに11歳時には使えなかった魔法を試したら使用する事が出来た。魔力量も正確に計測してないので分からないが、自分で感じる限りは11歳のあの頃よりは確実に多い。どうやら、魔法に関する知識と魔力の成長だけは失われていないようだ。
「けど……なんで時間が巻き戻ってるの……?」
分からないのはそこだ。まだ全員に会っていないとはいえ、リーシャのあの様子から察するに時間が巻き戻ってると認識してるのは私だけだろう。
「罪を犯して後悔して死んだから?いや……でも別に……それはあんな可愛い天使に辛くあたってはいたけど、罪って訳ではないし、私は自分の最期に全く後悔していないわ……」
私の全ては愛すべき妹の為に行った事だ。最期まで愛すべき妹を守る為に死んだのだから特に後悔している事なんてないわ。
『本当にそうかしら?』
突然、私によく似た声がして声のする方を振り向くと……よく似ていて当然だ。そこにいたのは私だったんだから……
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