ひとりごと 全部あの子が持ってきた

 りんごは夏帆が持ってきた友達だ。夏帆とりんごは幼い頃からの友達なのだそうだ。夏帆は母が持ってきた。

 入学してしばらくした春、母は私にクッキーを持たせた。私はそれを夏帆に渡した。なんのことはない。個人的に親交のあった私の母と夏帆の母の間のお使い役である。そんなことが二、三回続くうち、私と夏帆は親しくなった。つまり、夏帆は母が持ってきた友達だ。だから、夏帆にとってはりんごこそが友達なのだとおもう。私はオマケだ。

 満は姉の美咲が持ってきた。満は美咲と仲良くなった。だから私は満と仲良くなった。私はいつでもオマケだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る