第18話 野外任務(1)☆



 ※



「よし、ここら辺がいいかな」


 西風旅団が今日来たのは、迷宮都市フェルズから歩きで3時間ほど離れた、山間の盆地にある小さな草原。そこに流れる小川から少し離れた場所を野営地と決め、キャンプする。


 川の近くなのは持って来た水筒等を使い果たした、もしもの時の為と、食事の煮炊き、炊事の為。それと、狩った獲物を解体した血抜きをし、それを洗う為だ。


 少し離れるのは、川が増水して氾濫した時の、万一のことを考えての安全の為だ。


 普通の場所でも、木の枝にでも獲物を吊るして血抜きが出来るが、その血が溜まると、匂いにつられて肉食の他の動物達が集まり、それだけでなく、魔物も寄って来てしまう。


 目当ての魔物が寄ってくるのはいいのだが、狩る予定以上に来られても意味はないし、他の予定外の魔物が血の匂いにつられて寄って来る事もある。


 連鎖的に増えてしまっては、こちらが狩る限界以上の魔物はさばききれず、逆にこちらが狩られる立場になってしまう事もある。


 ゼンは、そういった、魔物を狩る場合の(普通の動物狩りにも共通するのだが)常識や知識、そして心構え等、かなり細かく教えられていった。


 そして野営の準備だが、今は色々便利な魔具が造られ、それなりに安く売られる(あくまで冒険者的な物価として)様になっているので、それを使う。


 リュウエンが四角いキューブを取り出し、


「これ、何か分からんだろ?」


 聞かれ、ゼンは当然頷く。


「これに、気を。術士なら魔力(マナ)とかだな、を込めて、下に置く。少し離れてろ」


 リュウエンがキューブを地面に置き、しばらくすると、大き目のテントが突然目の前に展開された。ゼンが驚きで目を丸くしている。


「物を圧縮する術式がかけられた魔具テントなんだよ。ゴウセルさんとこで、大き目のを安く売ってもらったやつだ。中に入ってみな。更に驚くぜ」


 そう言われて、ゼンが入り口にたれた布をくぐって中に入ると、大き目のテントではあったのだが、中は更に大きい、いや、広い。


「これで4人、ゼン入れて5人だな。で、入って寝ても全然おつりが出るぐらいの広さだろ?中に空間拡張もかかってるんだ。1.4倍程度だったかな。


 前は男女分けて、2つのテントにしてたんだが、夜は、魔物除けの魔具をつけておいても時々その威力を無視して近寄ってくる魔物がいるからな。突発時が多過ぎて、一緒のテントにする事にしたんだ。その為に大き目のにしたし、な」


「色々凄い……」


「魔具の性能が凄い、だけだがな」


 他の4人も入ってきて、それぞれが荷物を置き、自分の場所を決める。


「奥の方が女性の陣地ね。真ん中に荷物の国境線を作り、男子はこれを超えたら死を覚悟するべし!あ、ゼンはいいわよ」


「うんうん、ゼン君こっちでもいいよ~」


 アリシアはおっとりとゼンを誘うのだが。


「オレ、男だから、リュウさん達と一緒でいいよ……」


「あれ~~。あの日はアリシアと一緒のベットでぐっすり寝てたのに?」


「ゼン君、寝顔、可愛かった~~」


 結局、ボス戦の後で、気絶していたゼンは女性陣に取られてしまったのだ。


 気絶から、恐らく極度の緊張で疲れていたのだろう。そのまま起きなかったゼンは、アリシアの腕の中で熟睡したのだった。


 朝起きて、驚きの余り飛び上がって赤い顔をしてうろたえていたゼンの顔は見ものだった。そこに、無表情な仮面等どこにも存在しなかった。


 今もまた赤い顔をして恨めしそうに二人を睨んでいる。


 そうした色々な表情を自分達に見せてくれるようになったのが嬉しくて、ついついからかってしまう二人なのだ。


「そこまでにしとけよ」


 ラルクスはゼンが哀れで溜息をつく。


「まったくな。


 荷物を置いたら、俺とラルクが周辺の探索をしてくる。一応ここら辺に、一角兎(ホーンラビット)と、赤熊(レッドベア)、後、グレイウルフも出るらしい。熊は3匹、兎は20羽以上、狼も20頭以上が討伐定数だ。無理する必要はないが、熊や狼は街道の方に行かれると、フェルズに来る商隊の障害となる恐れがある。いるだけ退治して欲しいそうだ」


「熊さん、狼さん、可哀想~~」


「なんて言える程可愛くはないぞ。一応滞在予定は3日。


 アリシアとサリサリサはテント近くで、受けて来た任務の薬草採取と、薬草の名前や種類、効能、分布位置なんかをゼンに教えてやってくれ」


 赤熊(レッドベア)は、文字通り赤い熊のなのだが、何故か頭だけが赤い。基本的に狂暴で怪力なだけで、特殊な能力はない。ただ、大きさが成体で3メートルは軽く超え、大きくなるものでは5メートル以上にもなる。普通の狩人が手を出していい獲物ではない。


 一角兎(ホーンラビット)は、小さなスライムと並んで有名な雑魚魔物だが、油断するとその角で果敢に攻撃してくる。冒険者はこの一角兎(ホーンラビット)か小スライム、小鬼(ゴブリン)のどれかを最初に倒すのが定番だと言われている。


 グレイウルフの説明は略そう。ダンジョンで出た物の劣化版なので。(本来はダンジョン産が強化版というべき)


 それからのひと時はゼンにとって今までで一番輝いた、楽しい時間となった。


 実質は魔物退治なのだが、戦力的に、西風旅団に余裕がある為に、まるで泊りがけのキャンプ遊び、+ピクニックのような内容になっているのだ。


 薬草採取は山菜取り、魔物退治は虫取り、等に当てはめると分かりやすいだろうか。


 サリサリサとアリシアの二人は薬草を取り、その名前、何に効くか、何処にどう生えるか等をゼンに説明しながら集める。薬草は各種あり、メモ無しでは覚えきれないのでは、と危惧していたが、それはまったくの杞憂だった。


 センは一度教えた薬草の事は、こちらの説明の全てを暗記でも出来るかのようにどんどん覚え、その生育位置を理解すると、瞬く間に、は大袈裟だが、採取任務の規定量までかなりの早さで採取してきてしまった。


 受けて来た採取任務の薬草は、6種もあったのだが、その説明を聞き、全てを集めるのに2時間もかからなかった。採取困難で、余り豊富に生える物ではないのも2種程あったのにも関わらずに、だ。


 薬草集めの天才?と驚くアリシア達に、薬草が結構独特の匂いがするから、その生えている近くまで行けば、匂いがして分かるのだと言う。


 ゼンは勘だけでなく、五感も鋭いのだと改めて知るのだった。


 薬草が集め終わったので、リュウエン達と合流し、一角兎(ホーンラビット)討伐の手伝いをした。

熊ははやし森の奥の方にいるのか、まだ確認していないとリュウエンは言う。


 狼はここから少し移動した場所に群れがいる筈。(兎と生息位置がずれているので)


 一角兎(ホーンラビット)は、そんなにまだそれ程見つかっておらず、リュウエンとラルクスが2羽ずつしとめていた。4人で周辺を捜索し、2羽の一角兎(ホーンラビット)を見つけた。


 アリシア達は目くばせで、その1羽をゼンの方に追い込むように動き、兎はまんまとその誘導にのって動いてくれた。


 ゼンはゴウセルに借りている短剣を構え、一角兎(ホーンラビット)が突進で攻撃してくるのを鮮やかにかわし、短剣で見事、その兎の首元を斬りつけ仕留めたのだ。


 その時、確かにゼンは、やった!、と喜びの声をあげ、笑っていた。


 口元を歪めたような、不器用な笑い方だったが、それは確かにゼンが彼等に最初に見せた笑みだった。


 やった!おめでとう!と祝う仲間達の声は、一体どちらにめでたさを感じての事だったのだろうか。


 少年の不器用な最初の笑みへか、それとも初めて自分一人で狩った立派な魔物の事へ、だったのか。(かの大蝙蝠(ジャイアントバット)の話はこの際無視するとして)


 兎狩りは計14羽と初日としてはまずまずの成果を上げたので、テントに戻って遅めの昼とする。

 

 川岸まで行って、兎のさばき方、どこに魔石があるか、毛皮はどう剥ぐか、等をラルクスが見本を見せながら教えていく。女性陣は血を見るのが嫌なので不参加だ。


 何羽か、微妙な失敗をした後は、覚えの良いゼンはこれまたすぐにコツを覚え、残った8羽は彼が全部引き受けてさばいて見せた。なんとも見事な解体、魔石取り、毛皮剥ぎで、教えたラルクスが脱帽もの器用さだった。スラムで狩っていた小動物の経験も役に立ったのだろう。


 兎の血抜きは川で洗い流せばすぐ済むので、その獲物を持って戻って、串に刺して焚火で焼く。


 ゼンの食べる分は、当然彼が最初にしとめた獲物で、簡単な塩コショウで味付けをしてパンにはさみ、串を抜いて食べる。味付けも獲物自体も大したものではないが、彼には特別美味しい昼食になっただろう。こういうのもまた一生ものの思い出になるのかもしれない。


 ゼンの余りにも嬉しそうな様子を、微笑ましく眺めながら、そんな事を思ってしまう旅団メンバーだった。


 昼休憩をしながら、覚えの良いゼンに、サリサリサが一応魔術が使えないか、試してみないか?とゼンを誘い、やってみたのだが、呪文自体は覚えられても、残念ながら流石に術は発動せず、今までゼンの半ば万能に近い運動能力や、物覚えの良さを見ていた旅団メンバーは、むしろ少年に出来なかった事がある事を確認出来て、多少の安堵を覚えてしまうのだった。


 お茶を飲み、腹がこなれた後は、リュウエンがゼンに剣の初訓練だ。


 リュウエンは、持ってきた練習用の木剣をゼンにプレゼントした。実はそれは、彼が冒険者になる前からずっと練習に使ってきた相棒とも呼ぶべき物なのだが、必要もないのにフェルズについ持ってきてしまっていたので、調度いい機会、と言ってしまうのも変なのだが、これから剣士を志すゼンに、それで練習して剣士になったリュウエンは、縁起のいい物、と思ってゼンにあげることにしたのだ。


 それを、余りにもゼンが瞳を輝かせて喜ぶので、そもそも粗末な手作りの、剣の形になっているだけの安物だ。リュウエンは逆に悪い事をしたような気になって、フェルズでもっといい物を買って取り換えようかと言い出すのだが、ゼンはこれがいい、と断固返そうとしなかった。


 結局贈った者としてはそこまで喜んでもらうのは満更でもなく、その木剣は晴れてゼンの物となるのであった。


 そして始まった訓練。リュウエンは、鞘に納めたままの短剣で、剣の振りや足の位置、力の籠め方等の見本を見せ、初心者向けな一通りの事を教え、ゼンに木剣を振らせてみる。


 そして、その振りの何処が悪いか、姿勢、足の踏ん張り方、剣の握り、色々細かく注意し、ある程度さまになった所で、ゼンに、自分に斬りかかるよう催促する。


 模擬戦、ではない。まだまだその領域には至っていない。


 斬りかかってくるゼンの木剣を鞘に納めたままの短剣でリュウエンは受ける。そしてまた注意をしてから、その注意を意識させて、斬りかかってもらう、それを受け、注意して、もう一度、その繰り返しを何度も。


 二人とも熱中していたので、いつのまにか結構な時間が経っていた。


 知らないうちにサリサリサとラルクスは、周囲の探索と兎狩りの続きに行っていた。


 横では石に布をしき、そこに座っていたアリシアがニマニマと二人を見ながら微笑んでいた。


「リュウ君も昔、そんな風に先生と熱心に練習してたよね」


 そしてその横には、同じように微笑んで見物している幼いアリシアの姿があった。


「お、俺達も狩りに行こうぜ。


 兎はラルク達に任せて狼の方を。恐らく、川下の方にいると思う。今まで兎を狩っていても狼達は、1匹も見かけていない。つまりここが風下になっているって事だ。風は川下の方から吹いているようだ」


 リュウエンは装備を整え直し、出発する。


「リュウ君あったまいい~~」


「いや、臭いを嗅ぐ力の強い、犬系の魔獣の対処として当たり前なんだがな……」


 テレ臭さを隠しつつ、リュウエンは達は進む。


「……オレ、席を外す、じゃなくて、ラルク達の方、行こうか?」


 ゼンが少し気まずそうに言う。


「へ?なんで?」


「いや、二人っきりの方が、いいのかな、って……」


「や~~ん。ゼン君ってば、気をまわし過ぎ~」


「いやいや、今そう言う事言ってるような場合じゃないから!ただでさえ減ってる戦力減らしてどうするんだよ!」


「あ。そっか。そういう面もみないといけないんだ。成程……」


 しばらく行くと、狼達の一群が、草原でくつろいでいるのが見えて来た。


「調度ドンピシャだな。見えるか?」


「狼さん、5匹ぐらい?」


「や、伏せてて見えないだけ、で、8匹ぐらい。見張りとかに出てるのも、いそうだから、10匹ぐらいの群れ、かも。中央にいる大きいのがボスっぽい、ね」


 ゼンが群れの様子を鋭く細かく見て考察する。


「サリサの魔術はない。アリア、俺達に補助を」


「オレも?」


「ラルクスの代わりで援護してくれ。迷宮の狼程強くはないから、ゼンなら大丈夫だ」


「……うん、わかった」


 ゼンの顔に緊張が見えるが大丈夫だ。実際、迷宮(ダンジョン)にでたDグレイウルフより数段弱い。普通の狼よりは強いが……。


「よし、いくぞ。うぉぉ~~~~」


 リュウエンがわざと大声を上げながら狼の群れに飛び込む。匂いの嗅げない風下からの奇襲だ。グレイウルフは混乱し、右往左往している。


 バスターソードを振り回し、なるべくたくさんの狼を巻き込むように攻撃する。


 群れのボスが吠えて、何か指示を出す。


 何匹かがリュウエンの後ろにまわりこむ。包囲するつもりのようだ。


「余り意味がないんだが、な!」


 迷宮(ダンジョン)の狼に比べてまるで手応えがない。周りこもうとしていた数匹がゼンの短剣に続けて倒された。(弱いんじゃなく、俺達が強くなったんだ)


 逆にゼンの方がボスの後ろにまわり、逃げ道を塞いでいた。


「最初にすぐ逃げを選ばなかった時点で、おまえは悪いボスなんだよ!」


 リュウエンの攻撃がついにボスをとらえ、ほとんどのグレイウルフが屍をさらした。


 こちらの人数が少ないので、数匹は逃げただろうか。


「私、2匹~~」


 アリシアもメイスで攻撃にちゃっかり参加していた。見張りに出ていて、戻った狼に出くわした様だ。脅威度の高い敵ではなかったので、対応したアリシアを褒めるべきだろう。


「G級からF級になったぐらいだ。強くなって当たり前なんだな……」


 今更ながら自分達の実力が上がっている事に気づいたリュウエンなのであった。


「8、9、と、9匹倒せたね。1匹逃げたぐらい?」


 3人で奇襲した割に、上々の戦果だ。


 とりあえず一度、ゼンのポーチで川まで運んでもらって、それから解体、血抜きだ。


「狼って食べれるの?」


 ゼンが、不思議そうに聞く。普通肉食の獣は余り旨くないので食べないが、魔物は別だ。


「体内の魔力が、肉を旨くする、とかなんとか。魔石を間違って飲んでしまうと、大抵が腹痛おこして体調崩す破目になるんだが……」

 

「……知ってる。前に、魔鼠を魔石ごと食べて……」


「え!あいつ毒あるだろ?平気だったのか?」


「……うん。治してくれた人、いて……」


 ゼンの様子が突然に変になった。明らかに恐ろしく暗い表情。いつも以上に、だ。


「その、治してくれた人が、どうかしたのか?」


「……答えたく、ない」


 うつむく顔からは、何の感情も伺えなかった。


「……そういう事もあるか。仕方ないな。とにかく戻ろう」


 帰り道もほぼ無言。色々アリシアが話しかけているが、駄目なようだ。


 キャンプ地に着くと、サリサリサとラルクスが笑顔で迎えてくれた。


「兎、12羽確保。血抜きとかも(ラルクが)済ませてあるわよ。兎はノルマ達成ね」


「こっちはグレイウルフが8匹。血抜きとかはこれからだな」


「まあ、それはいいとして、どうかしたの?」


 サリサリサが、小声でゼンに聞こえない様問いかける。


「多分、ゼンの暗い過去思い出させたようだ……」


「あちゃぁ。ほっとくしかない?」


「多分。アリシアでも無理みたいだからな……」


 あえて大声で、ゼンに頼み事をする。


「ゼン、ラルクスにグレイウルフの解体習ってくれ。兎とはかなり違うぞ」


「…うん」


 こういう時は、身体を動かしている方がいい。


 ラルクスに連れられて川へと向かうゼンを、複雑な表情で見送る三人。


「せっかく、こっち来てからいい表情見せてくれてたんだがな……」


「仕方ないでしょ。ゴウセルさんから聞いてたけど、あの子の過去って多分普通のスラム子に比べても、相当過酷なものらしいし。別に、過去、ほじくり返すような事言った訳じゃないんでしょ?」


 サリサリサはリュウエンの顔を下からジト目でうかがう。


「もちろん!そんな事するかよ!」


「……あのね。リュウ君は、魔物の魔石を間違って食べると、腹痛になって調子を崩すって話してたの。そしたらゼン君、魔鼠の肉でそうなった事あるって言って、あれって毒があるから、平気だったのか?って聞いて、それを治してくれた人がいる、って……」


「あぁ、うん、分かった。その治してくれた人に何かあったんだ……」


「多分。その人の事聞いても、話したくないって言ってたから……」


 そう言うと、アリシアの方がボロボロと大粒の涙を流し始めた。


「やだ、シア。あんたまで泣かないの。気持ちは分かるけど……」


 サリサリサは親友を抱きしめて、その頭を優しく撫でてあやす。


「だって……私って苦労知らずで……世間知らずで、皆に守ってばっかりだったけど、あの子はそういう人いないで、一人であんなに立派に生きてるけど、すごいすごい苦労してきて、いろんな悲しみも背負っていて、涙、止まらないよ……」


 リュウエンはただその場をオロオロ動き回っている。


「うん。それでもね、あの子はゴウセルさんに会って、で、私達に出会った。それは、悲しい事じゃないでしょ?」


 アリシアは涙ながらにコクリと頷く。


「あの子の悲しい事、苦しい過去がそれで帳消しになる訳じゃないけれど、決してなくなりはしないけれど……。


 でも、私達がこれから、そんなの忘れるぐらい、吹き飛ばすぐらい、幸せにしてあげればいいのよ!


 シア、あなたはあの子のお姉さん役をしていくつもりなんでしょ!なら!メソメソ泣いていないで、ただあの子を温かく見守って、微笑んでいればいいの!」


「……そんなのでいいのかなぁ~」


「そんなのが大事なの!私には出来ない。リュウ達にだって出来ない、大切な役割よ」


「……うん、分かった。頑張ってみる!」


「ん。なら涙拭いて、表面だけでも明るく振る舞いなさいな」


 わかった~、とアリシアはテントの中にトテトテ入って行った。中で涙を拭き、身支度を整えるのだろう。


「……すまんな、サリサ」


「……なんであんたに謝られるのよ。これも、大事な親友の役割なんだからね」











*******

オマケ


リ「迷宮の外、久しぶりだな」

ラ「日光がまぶしい、きつい……」

サ「吸血鬼か!」

ア「ピクニックみたいだねぇ~」


ゼ「……」(ワクワク)

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