大罪ダンジョン~色欲~

「おれもレベルめっちゃ上がってるな・・・」


ステータスを確認しながら呟くカナト。レイラには言い忘れたが、カナトはスキルで既に経験値倍加を持っていた。なので指輪10個とスキルの倍加で2048倍の倍率がかかっていたのだ。


「それでも経験値倍加の指輪は他の人間にも取れるんだよな・・・」


カナトが考えていたのはこの力が自分だけの物では無いということだ。罪か罰の人間ならいずれ手にするだろうアイテムやスキルの数々。それこそ人殺しも厭わない人間が手にしたら?裁くことに全振りした人間がいない保証は?


「杞憂ならそれに超したことはないけど・・・カルマランクを上げて取れる物は全て取っておく必要があるか・・・もしくは」


未だ爆睡しているレイラを横目に見ながらカナトは考えていた。実際交換リストで未だに交換できないアイテムやスキルや魔法はいくつもある。そのどれもが使い方次第で国を、世界をひっくり返せる可能性がある。ここで自分の方向性を決めなければならない。


「やっぱり探すしかないのかな?ただここに居て待っていても始まらないか。それに自分だけの強さが必要だし」


自分だけの強さ。それを考える。


ヒメヤマカナト

年齢15

人間

レベル4125

HP170,156

MP206,250

強さ85,078

魔力103,125

素早さ41,227

賢さ50,156

スキル/料理極/読書極/掃除/インターネットショッピング/魔力感知極/魔力操作極/マップ化//全耐性極/移動術極/クリティカル極/必中/マルチタスク/身体強化極/魔力付与極/属性付与極/多重展開極/体術極/解体術極/異世界言語/経験値倍加/

魔法/回復魔法極/時空間魔法極/

カルマポイント8

称号/迷子の極み/極めた者/

TBC3150.1220


「とりあえず上げるだけ上げて時空間魔法も取ってみたけど・・・普通の魔法だけだと限界があるんだよなーこれ。死者蘇生みたいな魔法はないし」


うーんと頭を捻る。


「難しい顔してー!」


「アイか。まぁな・・・やっぱ悩むとこだよ。これってカルマランクに上限はあったりするの?」


「上限は設けられてないよ!それに交換リストもそれだけじゃないし!」


「・・・何?どういう事だそれ」


「条件はわからないけど交換リストには裏交換リストってのがあるの!詳しいことは私もわかんない!」


ふよふよとカナトの周りをバレリーナの様に回るアイ。


「てことは・・・交換リスト以外にも何か隠し要素があってもおかしくない・・・か?」


「おかしくないよ!私にはわかんないけど!」


改めてステータスの項目を色々と触れてみる。が、おかしい所は何も見つけられない。


「お手上げだな・・・はぁ・・・図書館でも行って調べ物でもするかな」


未だいびきをかいて寝ているレイラをちらっと見て書き置きをテーブルに置いておく。


ーーーーーーーーーー


王立図書館。それは世界でもトップクラスの蔵書率を誇る。一般閲覧可能な本から著しく閲覧が制限されているものもある。ここにある本はこの世界、ハールノールの大部分が記されていると言われている。


「閲覧制限のかかってる本はどうやらあの門番の先ね!」


図書館にやってきて早5時間。読書極と高速並列思考と同義であるスキルマルチタスクの力により、1冊30秒の驚異的なスピードで異世界や神話、英雄に勇者など、自分と同じようにこちらに来た可能性のある人物達の本。それらをあらかた読んでしまったカナト。


しかしながら日本や地球に関する情報や、地球に由来する文明や発明等を見つけることは叶わなかったのだ。魔法やアイテム等に関する書物もカナトの目に止まるような情報は無かった。


となると、アイが言うように門番の立つ通路の先。そこに閲覧制限のかかった本がある可能性が高い。


「ダメ元で行ってみるか」


隠者のマントを羽織って魔力を流す。試しにその状態で門番の前まで行って手を振ってみたりしたが反応はない。


「行けるね!よーし突入!」


アイが先陣を切って通路に侵入していく。やれやれと思いつつカナトも後に続く。通路の先は下にくだる階段になっていた。それをひたすら下っていく。5分ほど下ると通路があり、その先に古びた扉が見えた。どうやら当たりのようだ。


「カナトー!鍵がかかってる!」


見てみるとどうやら魔法の錠がかけられているようだ。


「鍵開けのスキルなかったかな?」


交換リストを参照し、魔錠解除極のスキルを交換。


「お?簡単に開いたな」


鍵を開け扉を押し開く。中は薄暗いがそれほど広いわけでも無さそうだ。学校の教室二つ分と言ったところだろうか。


「V、VI、VII、VIII、IX、X・・・閲覧ランク事に振り分けられてる感じかな?おお、魔力を感じる本がいっぱいある」


Xと書かれた棚が一つだけあった。数自体は100冊ほどだが、そのいずれの本からも魔力のような物を感じる。


手に取り片っ端から読んでいくが、読書極を持っていてもこの本は1冊数分かかりそうだった。


「これは凄いな・・・読んだだけで魔法とかスキルとか覚えたんだけど」


残念ながら目当ての異世界人に関する本は無かったものの、交換リストには無かった究極召喚魔法極、精霊魔法極、空間跳躍極、神代錬金の極、神薬調合の極、闘神の極をそれぞれ習得した。


「これまたチートだな・・・確認は後でするとして他の本も読んでみるかな」


一通り読んでみて分かったこともいくつかあった。公表はされていないが、大罪を冠したダンジョンの存在。空の上にあると言う城への行き方、海中に存在する伝説のダンジョンの入口、世界樹の育て方とその在り処、アムリタやソーマと言われる神酒のレシピ、エリクサーのレシピ等。


「なるほど・・・試すことが増えそうだなこれ」


全ての本を読み終わり、鍵を戻して図書館を出る。カフェでコーヒーを飲みながら頭を整理する。


「つまり・・・交換リストにあるものは素になってる可能性が高いってことか」


「どーゆーこと?」


「例えば死んでなければ全ての怪我や状態異常や体力を回復するエリクサー。これは交換リストにはないんだよ。ただ素材は全て交換リストにあるんだ。まぁ神代錬金と神薬調合のスキルを持ってなければ調合できないみたいだけど」


「ふーん!よくわかんない!」


「ほら裏の交換リストって言ってたじゃん?」


「言った!」


「それってもしかしてそういう事なのかなって。この交換リストは・・・ざっくり言えば素材の交換リストでしかないってこと。魔法に関しても大元の魔法がこれってだけで、恐らく交換リストに乗ってない魔法もあるはずなんだよ。例えば魔法をいくつか融合させるとかさ」


「カナト頭いいね!でも当たってると思う!私の知識もあくまで知識だけだし応用はきかないからね!」


コーヒーを啜りながらアイの言う通りなんだろうと結論を出す。ヘルプのアイが何もかも知っている訳では無いし、アイ自身が知識を元に何かを生み出せる訳ではないように。


「もしも他の人がいたとしてもこのことに気づけたのは大きいかもね。可能性を探っていく必要は無くならないけど希望は見えたかな」


うーんと伸びをしてカナトは一旦街を出た。やってきたのは迷いに迷ったあの森だ。ここでスキルや魔法を試していく。


そのどれもがチートと言っても差支えのないものだった。そこで確信したのが蘇生に関する魔法やアイテム等の存在だ。


「究極召喚も精霊魔法も闘神も・・・神代錬金も神薬調合もある程度わかった・・・こうなると無いわけがないよな。蘇生に関する魔法とかアイテム」


「凄かったもんねー!」


「なぁアイ。図書館で調べて出てきたダンジョンって覚えてる?」


「覚えてるよー!」


「ここから1番近いところわかる?」


「ここからだと海中にあるダンジョンと大罪ダンジョンよ!」


「海中か・・・なら色欲かな?それはどれくらいの距離かわかる?」


「と、言うより大罪ダンジョンは鍵が無いと入れないの!」


「鍵?交換リストを見てみて!」


「大罪の扉を開く鍵・・・これか?今のところ交換出来るのが色欲しかないな・・・500TBってぼったくりだろこれ」


「大罪だもんね!」


「てかなんでこんな情報は知ってたんだよ・・・」


「わかんない!」


小さな胸を張るアイであった。早速大罪の扉を開く鍵を交換する。


「で、ダンジョンはどこにあるんだろ?」


「その鍵を地面に刺して!」


「刺す?こう?」


「そう!で、魔力を流して捻る!」


「魔力を流して捻る。・・・え?魔法陣が」


カナトが鍵を地面に刺して捻ると魔法陣が現れる。眩い光と少しの浮遊感の後、カナトは転移していた。


「・・・ここは・・・ダンジョン?」


「そうだよ!カナトが聞いたんでしょ?ここから近いのどこって!」


「いや聞いたけどさ・・・もしかして他の大罪の鍵も交換出来ればこんな感じなの?」


「そうよ!それがあれば何時でもダンジョンに潜れるね!」


いやそう言うことじゃねーよと突っ込んだが来てしまった以上しょうがないだろう。気を取り直して辺りを見渡す。


そこは白い石でできた通路だった。


「いつものダンジョンの道と違う・・・まぁいいか。経験値倍加の指輪を装備してと」


銃を抜いてマップを展開しながら歩いていると、早速敵が現れる。現れたのは上半身が美女、下半身が蛇のナーガだった。


「早い・・・か」


思ったよりも動きが早く、こちらが銃で攻撃するのとほぼ同時に火球を放ってきた。威力もそこそこあるようだ。


「まぁ敵じゃないけどさ」


「やっるー!」


その後もナーガやサキュバス等女型の魔物が続く。耐性を持っていたから効かなかったがチャームを多く使ってくる印象だ。


「だから色欲ってか?てかレベルの上がり方が尋常じゃないなこれ・・・」


10階層を超えただけで既にレベルが1000も上がっているのだ。その後も女型のダークエルフやインプ、中にはマーメイドみたいな魔物も出てきた。30階層を超えたあたりでようやくというか通常の魔物も出現し、オーガ種の恐らく上位であろう黒鬼や白鬼がカナトの銃弾を受けても肉薄してくる。こいつらは銃に魔力を込めただけの弾丸では倒れなかった。魔法を付与し、属性を与えて攻撃する。


ここでの付与魔法は覚えている魔法じゃなくても問題ない。なぜなら付与魔法とは言うがカナトの場合、イメージの付与をする事ができる魔法だからだ。だがなんでもイメージを付与できる訳ではなかった。大爆発をイメージしても爆竹程度だったり、全てを氷漬けにするイメージをしても一部が凍る程度だったり。考えた結果、イメージを補完する為の現象、それが足りていなかった。


だからカナトはなるべくイメージと誤差のないように属性を追加して補完する事で成功率を上げたのだ。結局大爆発や超常現象みたいなイメージは成功しなかったが。


そして今回カナトが付与したイメージはレールガン。属性は雷。魔力を込めた弾丸をバレルの中で電磁加速させ発射するイメージ。


放たれた弾丸は先程の弾丸を数倍する推進力を伴って黒鬼の頭を貫通する。


「やっぱ強いなこれ」


続けて白鬼も撃破。30階層から80階層までは低層階と違い女型の魔物は出てこなかった。オーガ、オーク、ゴブリン、ドラゴン等、それぞれの上位種が多く、いずれもレールガンの餌食となった。


レベルも10階層事に約1000程上がり、アイテムや素材もかなり高いレアリティの物が多かった。


「これで90階層のボス撃破と。100階層で最後かな?」


通路を進んでいくと道に変化が訪れる。天井や壁、床などに女性の乳房や手足が混ざり始めたのだ。


「なんだこれ・・・めっちゃ気持ち悪いんだけど」


「気持ち悪いねー!」


それは進めば進むほど増えていき、99階層にたどり着く頃にはその道の全てが様々な女体で作られていた。


「ようやく100階層・・・やっぱりここで終わりっぽいかな」


見上げると女体に埋め尽くされた扉がモゾモゾと蠢いている。部屋の中が想像できるのでテンションはガタ落ちだった。


「さっさと倒して出ていこー!」


「アイに賛成だな・・・」


扉の前まで来ると、その扉は勝手にゆっくり開いていく。


入った瞬間やっぱりかと周囲を見渡す。50m四方のその部屋の全ては乳房や手足、女性の性器や恍惚とした顔で埋め尽くされて蠢いている。


そして視線の先には一体の魔物・・・見た感じサキュバスの女王のようだ。長い漆黒の髪は妖艶な艶を発し、見るものの心を魂ごと奪うような赤い瞳。豊満な肉体には魔法陣が所々描かれており、その手にはムチを持ってヒールを履いている。はっきり言えば痴女だった。


「ここまで来るとはいつぶりかや・・・人間。名乗りを許そう。名乗るがよい」


「・・・カナトだ」


「ふむ・・・勇者という訳では無さそうだのう。妾はセイナ。サキュバスの原点にして神祖。せっかく来たのじゃ。妾と契っていかんかえ?」


寒気がするほどの色気にカナトは背筋に冷たいものを感じる。


「それはありがたいけど・・・全部吸い取られそうだしやめとくよ」


その言葉にセイナはカラカラと笑う。


「そうよのう・・・妾と契れば魂も存在も全て吸い尽くす代わりにこの世のものとは思えぬほどの快楽を永劫堪能できるんじゃがのう」


「・・・とりあえずセイナだったか?お前を殺せばダンジョンはクリアなんだよね?」


そう言って銃をセイナに向ける。


「さぁて・・・そなたに妾を滅するだけの力があるかどうか・・・」


「・・・そうかよ」


そう言ってカナトはレールガンを発射する・・・が、セイナは難無くムチで弾丸を払い除ける。


「面白い道具だのう・・・だがそんな玩具では妾は感じぬぞ?」


瞬間カナトは全力で飛び退く。カナトがいた場所は破裂音と共にムチが打たれ、床に蠢く顔から嬌声が漏れる。


「ほう・・・避けるか・・・これはどうじゃ?」


セイナはムチに魔力を込めてそのまま床へと振り下ろした。部屋全体から幾千の嬌声が響き渡り、カナトはグラりと膝を着く。


「な、なんだこれ」


床を見ると乳房や女性器から液体のような物が溢れている。


「耐性すら超えるほどの強力なチャーム・・・か?」


「素晴らしいのう・・・その通りじゃ。その割には耐えれておるようだがな」


くつくつと笑いながら床にムチを打つセイナ。足元がぐらついたかと思うと、蠢いて液体に塗れた女体がカナトに絡みつこうとして手足を伸ばしてくる。


「くそが。気持ちわりぃんだよ!」


強力なチャームとは反して生理的嫌悪感のするそ女体の群れにレールガンを乱発するが、女体の群れは嬌声を上げるだけでダメージが通った様子もない。


「耐えるのもしんどい物じゃろう?楽になったらどうかえ?」


「ふざけんなよ」


カナトは辺りに充満する性気と魔力ををゆっくりと体の内に取り込んだ。


「む?」


「ふぅー・・・さっきとは違うからな?」


構えた銃に性気と魔力を込めて撃ち出す。セイナはそれをムチで払い除けようとして失敗する。着弾する弾丸は浅くセイナの頬を裂いた。


「ムチが・・・何をした?」


「さぁなんだろうな?」


その後もレールガンを撃ち続けるカナト。気づけば四方八方から襲い来る弾丸は確実にセイナの柔肌を貫いていく。


「ぐっ・・・そなた・・・弾を転移させておるのか」


「それだけじゃないけどな」


そう言ってカナトは部屋に充満する魔力を体にどんどん取り込んでいく。


「・・・何をしておる」


表情から余裕の消えた顔でセイナが睨む。


「さあ・・・なんだろうな?」


今まで上がっていた嬌声が止み、セイナが異変に気づく。


「萎んでいる?」


埋め尽くされた女体はどんどん性気を失って萎んでいく。あれほど上がっていた嬌声は今苦しみの呻きとなって空間に響いている。


「これは闘神の極って言ってさ。その場の魔力や邪気・・・満ちている力ならなんでも吸収して力に変換できるんだ。この空間なら性気と魔力だな。これを弾に込めて撃つ」


その弾丸はセイナの右太ももを貫通する。


「毒は毒を以て、毒を制すってな」


「ちっ。じゃがこの程度の傷すぐ治・・・治らん・・・だと?」


「言ったろ?毒を以て毒を制すってさ」


空間跳躍極を使って弾丸の進入角度を意図的に変えながら自らも立体機動の如く立ち回るカナト。セイナの体に刻まれた魔法陣が輝き身体を大幅に強化しているようだが為す術もなく翻弄されていく。


「ま、まて!待つのじゃ!」


体のあちこちを貫かれ、息も絶え絶えになったセイナが懇願する。この場に満ちる力、それはセイナの魔力も例外ではない。常に魔力をドレインされながら戦っていたのだ。消耗は計り知れない。


「辞世の句でも詠むのか?」


銃を1度下げてセイナに言葉を促す。


「わ、妾と契約してくれぬか?もちろんタダとは言わん!」


「・・・契約とは?」


「そなたと・・・召還契約・・・いや、主従契約をしてくれぬかえ?そうすれば妾はそなたの眷属となる」


しばし考え込むカナト。


「具体的にどうなる?」


「契約をすればそなたから魔力を定期的にもらうことになるじゃろう。だがそなたには逆らえぬ。それに妾の力はそなたも使えるようになる」


「・・・契約すればこのダンジョンはどうなる?」


「妾が討伐されたと判断するだろうのう」


「つまり宝箱が出てダンジョンコアも抜き取り魔法陣が出ると?」


「そのようになるはずじゃ」


セイナの瞳をじっと見つめ、歩み寄る。ビクッと体を震わせながらもセイナはカナトの目から視線を外さない。


「・・・わかった。なら主従契約をしようか。目を閉じててくれるかな?」


セイナはゆっくりと目を閉じる。カナトは主従契約の魔法を交換し、魔法に従い指に魔力を込めてセイナの腹部に触れた。


触れた箇所から掌ほどの魔法陣が浮かび上がり、だんだん光が収まっていく。


「これで主従契約は終わりかな?」


「あ、ああ。これで妾はそなたの物じゃ。分かるであろう?」


「ああわかる。魂に紐づいてる感覚って言えばいいのか・・・力も確かに使えるみたいだし。まぁ後で確認するか。立てるか?」


「もう・・・大丈夫じゃ。契約が成されたお陰で回復も・・・ほれ。この通りできておる」


体を見ると傷が塞がり、柔肌にはシミひとつ出来ていなかった。


セイナの言う通りダンジョンは討伐したと判断したようで宝箱がぽつんとあった。周囲の女体も消え去り今はただの岩肌へと姿を変えている。


宝箱を開けると色欲のピアスが入っていた。効果はカルマランクの上昇補正、性別のある魔物に対し魅了魔法の成功率に大幅な補正、装備者の魅力に大幅な補正、更に夜の営みが強くなるというものだった。


「カルマランクの上昇補正はありがたい」


セイナの目の色と同じ真っ赤な宝石の入ったピアスを耳につける。


ふと壁を見るとラグビーボールほどのダンジョンコアが10個も壁に埋まっている。


「ダンジョンコア多くない?」


「妾のように強力なダンジョン主がいるならこれくらいはあるものじゃ」


「ふーん・・・そんなもんか。所で他の大罪ダンジョンについて何か知ってたりする?」


ふむ。と腕を組むセイナ。


「そうじゃな・・・恐らく妾と同じであれば何かしらの神祖である可能性が高いかのう」


「あーそう言えば神祖ってのは?」


「神祖は神が創り出した祖なる雛形。妾であればサキュバスの最初の1人、他の者からすれば女王。もしくは神と言うところじゃ。全てのサキュバスはいかなる契約を受けていても妾に逆らえぬ」


「てことはこの世界のサキュバス全部味方ってことか」


「そう捉えても構わぬ。各地には力を持ったサキュバスも多い。そなたの力になろう。それはそうとして早速魔力が欲しいのじゃが」


「定期的にってやつか。どう渡せばいいの?」


「魔力を纏いながら契りを交わすだけでよい」


「契りって・・・性交ってことだよね?」


何を当たり前のことを、とセイナは体を寄せてくる。


「え?ここで?」


「ここなら邪魔も入らぬ」


「うーん・・・まぁストレージにベッドとか入ってるからいいっちゃいいんだけど・・・本気で?」


「うむ」


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