第6話

そう、私のバイトは"全教科八十点以上"という条件付きのバイトである。


結構な無理難題。どれだけ私にバイトさせたくないのって話だよね。これでも条件は緩くなってるんだけど。


一年生の一学期中間は無事クリア。感触的には余裕だった。頑張れば問題ないはずだったんだけど、


「お前らの気合を入れたくてね、学年の先生たちで話し合ってテストを難しくしました。赤点を取った生徒も一気に増えたので自分の将来のことも考えて行動していってください」


そんな前置きから始まったテスト返却は案の定私を地獄の底へ叩き落した。点数も叩き落されていた。解説よりも親への言い訳を考え、さよなら私の青春・・・と嘆いた。


いらん事しないで!後に上がって来たのは先生たちへの怒り!言えよ!バカ!報・連・相って知ってますか!?


何とか、平均点やら評定やらを盾にバイトは守り切ったがもう背水の陣になってしまった。


そこで、身近に頭の良い人が隠れてたぞ?


お、頼めば勉強教えてくれるし、過去問も入手し放題!だって先輩チョロイからっ。


「いいけど、時間はそんなに取れないよ?」


「それでもいいですよっ。先輩に私の青春はかかってますからね」


「ええ~、やめようかな~」


本気で嫌そうな顔しないでくださいよ。


けど、交渉成立ですから。約束は守らせますから。


「ごちそうさまでした」


チマチマと食べていた先輩のパスタがやっとなくなった。体の割に胃も口も小さいみたいだ。


ちなみに、食前、食後の挨拶するをきちんとする人は良いやつだと勝手に思っている。


「いっぱい食べたので散策しましょ」


「人がいっぱいいるからやだよ」


どうせ、喫茶店に来るときに通るでしょ。と正論をぶつけるより先輩はゴリ押しの方が弱い。私は頭が良いのですぐ学ぶのです。


「ちょっとだけですから。先輩は友達いるんですか?私、先輩の学校生活が不安です」


「友達は居るよ。ただ・・・その数が少し少ないだけ」


うん!予想通り!人混みを歩きたくないはとか初対面の時から察してはいた。店長には"うっすー"なんて言ってたのに私に対しては警戒心丸出しだったから。目も合わせてくれない、話題もすぐ切れちゃうし。


「じゃあ、好きな人とかは!?」


完全に興味本位だった。そんなことに興味なんてありません、恋愛って何?みたいな反応だと思ったのに。


「えっ、好きな人、好きな人はいないよ。うん」


先輩・・・すべてが顔に出てますって。顔真っ赤にして、ポケッとしている先輩が変に頷きながら否定しても信じられないですよ。


また、目も合わせてくれない。








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