第24話 024

目を瞑る事が、なかなか出来なかった。


いつもなら気付きもしない、天井の電気を消した後の青い残光を、ずっと見ていた。


寝相が悪いわけじゃないけど、元々身体が大きいし、睡眠に妥協をしたくなくてベッドは無駄に広い。

その広さが、初めて、無駄じゃなくなった。


ゆかりは、壁の方を向いて、丸まっている。


俺は、触れない距離で、姿勢正しくいつまでも、天井を見ていた。


たまに、モゾモゾとゆかりが動いて、それにつられて揺れる毛布が、妙にリアルに、一人じゃない事を伝えてくる。


いいかげん、眠らないと。


そう思って、小さくため息を吐いた。



瞬間、



「カズキ、、、眠れないの?」



遠慮しすぎて掠れた声が、届いた。


驚いて反射的に声の方を見ると、大きな瞳と、目が合う。



いつの間にこっちに寝返りを打ったんだろう?


困ったように、怯えるように、眉を寄せて、ゆかりがこっちを見ていた。



「すぐに眠れる。お前が寝たら」


ゆかりに背を向けるように身体を傾けて、そう答えた。

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