第45話 みんな大好き。

祐也くんの家について、手を洗い、二人で映画の話でまた盛り上がる。

スーパーで買った缶コーヒーを片手に、二人で映画の話をしていた。

18時になったころ、キッチンを借りて、野菜の皮をむき始める。

それでも、映画の話は続く。

皮むきは祐也くんが途中からしてくれたので、サラダの準備にとりかかる。

全部出来上がる頃にはカレーのいい匂いにお腹が反応して、お腹がなる。

サラダは一度、冷蔵庫に入れて冷やしたので、とてもおいしくできあがった。

ドレッシングは調味料で作ってみたら、意外と美味しかったので、サラダにかけて、二人でカレーとともにおいしく食べた。

食べ終わる頃には、20時半。

なんともない会話で、テレビを見ながら、コーヒーを淹れて、ゆっくりしていた。

こんな時、いつも思うのが、自分の話を率先して話せないこと。

自分の生い立ちを話すことができないこと。

いつかは話したいけれど、とても迷っていること。

いつ、どう、どんな顔で話せばいいのか。

同情もされたくない。

可愛そうだと思われたくない。

そんなことを考えていたら、ますます話せなくて、黙り込んでしまう。


頭はいろんな思いが駆け巡るけれど、

「ゆーらちゃん」

と、祐也くんが抱きついてきた時には、ドキドキして、汗がでるほどで、頭の中は真っ白となり、駆け巡る思いは消え去る。

そして、祐也くんと、繋がる夜となった。


泊まっていきなよと言われて、初めて、彼氏の家にお泊りをすることになった。

このままずっと一緒にいたいなと思ったりもした。

明日はまだ日曜日だから休みだし・・・。

祐也くんの腕の中でしっかり眠りについて、気づいたら、朝になっていた。

恥ずかしい思いもあり、朝食をつくろうとしたら、後ろから声がした。

「結良、昨日のカレー、絶対今日の方がうまくなってるよな?」

と、飛び起きた祐也くん。

朝からカレーは重たいから私は少し味見程度にカレーをかけ、あとはサラダで済ませたが、向かい側でパジャマのままでカレーをもりもり食べる祐也くんは、子供にかえってみたいに、食べていた。

「うん、やっぱり、昨日よりコクが出てる、二日目のカレーってなんでこんなに美味しいんだろうな」

と、ニコニコしていた。

やっぱりカレーはみんな大好きなんだな、と施設にいた頃の思い出を振り返りながら思った。


食べ終わる頃に、コーヒーを淹れて。

今しかないと思った、自分の生い立ちを話すことにした。

少しの勇気では足りないほどの、力が要ることだった。

覚悟を決めて、話すことにした。


祐也くんの手を握り、絶対泣くもんかと思いながら。


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