第44話 パフューム。
休日。
いつものように、洗濯や掃除や片付けをしていた。
でも、少し違ったのは、お昼から祐也くんとデートの予定があるということだ。
私と祐也くんはお付き合いし始めてから半年ほどがたっていた。
今日は二人で映画を見に行く約束をしている。
そして、そのあとは祐也くんの家で料理を作ろうという話になっている。
料理はカレーとサラダの予定だ。
私は野菜の皮をむくのがなぜか、小さい頃から好きだった。
じゃがいもや人参を、ピューラーを使って、丁寧にむいていく。
そして、綺麗にむけた野菜たちが一口大になり、カレーの素になるその工程がとても好きだった。
自立してからはローリエを加えて臭みをとったり、にんにくや生姜のすりおろしなども入れて、日持ちするようにしたり、コーヒーを入れたりして、コクを出したりと、いろんなことを試した。
そして、家事を一通り済ませて、身支度をする。
新しく買ったグロスを少し薄めに塗って。
香水など、自分を飾るものに疎い私は、望美からいつもアドバイスをもらって、買いに行ったり、テスターで試したりして、少しずつ美容に関心を持ち始めていた。
洋服もあまり派手なものはなく、出勤時の服装もあるものでローテーションしていたし、自由に着ていける利点から、色違いのもので揃えていて、ほとんどはスカートがなかった。
洗濯をしていればなんてことないんだからと思いつつ、私はあまり流行りにのろうともしなかったのに、あまりにも時代遅れだと望美に言われて、きちんと買い直した。
新しい服を着ていく時は祐也くんに褒めて欲しくて、一番に着てみせた。
シンプルなのが好きだということ、自分を飾る宝飾品を好まないこと、香水など、香りのものはなかなか手に入れても実は付けないこともきちんとわかってくれている。
「うん、似合う、素敵。」
と、言われると、安心してしまう。
心が躍る感覚がよくわかる瞬間だ。
身支度をして、駅に向かう。
メールでそれを知らせたら、祐也くんも家を出て、駅に向かっていると。
映画館はちょうど、私と祐也くんの家の真ん中らへんにあるので、そこで、待ち合わせすることにした。
今日はなにを話そうかな、映画のあとはカレーを作って・・・。
と、電車に揺られながらいろんな楽しみを思い浮かべていた。
着いたメールがやはり、祐也くんのほうが早かった。
「ごめんね、いつも待たせて・・・。」
申し訳ない気持ちになる。
「いいよ、行こうよ、あ、今日もバッチリ可愛い!!」
なんて、心の広いひとなんだろう。
ワクワクする気持ちを持たせてくれる、損得勘定のない男性。
祐也くんにずっとついていきたいな。
映画館は、そんなに人がたくさんでもなく、ゆっくり座席に座ることができた。
コメディを見たのだけれど、二人でクスクス、顔を見合わせてはクスクスと、笑って終わった。
映画の余韻が残る中、スーパーで、買い物をして、祐也くんの家にむかった。
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