第41話 ぺあれんつ、ぷれぜんと。
中学校の三年間は本当に、家族連れが嫌いだった。
家族でスーパーで買い物とか、どれだけ暇なんだよって、文句を聞こえるように言うくらい。
本当にうざかった。
家族ごっこみたいで、うざかった。
だから、精一杯反抗していた。
いるのかいないのかもわからない存在に、期待をしても仕方ない。
でも、家族で出かける姿を見ると、なにかの偽物を見るような感覚になっていた。
中学校の修学旅行の際に、戸籍をとることになり、父母の存在を知った。
でも、逢いたいという気持ちにならなかった。
それは今までの自分を否定することになるかも知れないと思ったからだと思う。
修学旅行が終わり、受験する高校について真剣に考えているとき、やはり、漠然とした夢すらなく、ただただ、進学して、もっと勉強したいと思い、公立高校と呼ばれるところに受験を決めた。
それまでは、家族でスーパー、家族でショッピング。
見るたび見るたび、気持ちが醜いものになっていくことがよくわかる。
中学校では望美もいたから、少しは、いや、だいぶん救われた。
望美の家に泊まりに行くと、暖かく、そして、気兼ねなく迎えてくれる。
もしかしたら本当の両親はこの人たちではないかと思うほど。
そして、高校受験で、戸籍をとって私には両親が健在であることがわかった。
その現実を受け止めることは、家族で買い物をしてる人たちをみて、ヤジっていた気持ちでは受け止めることは無理な話である。
生まれてからずっとここにいたのでは?と思うほど、両親の顔かたちを知らない私にとっては、今更出てきた家族、両親をどう受け止めればいいのか。
いたなら、どうして会いに来てくれなかったのか、迎えに来てくれなかったのか、そんなことばかりが頭をぐるぐる。
みんな週末には自分の両親のもとや、母のもとに一時帰宅するというのに・・・。
私はずっとそれを見て、よかったねって言っていた側なのだ。
少しばかりの期待をもったまま生きていては、絶望の現実に打ちのめされると思っていつからか、私の家族はベアだけとなった。
そして、今、両親の存在を知った今、自立して、会社員として働いて、その、家族、つまりは両親が必要かどうか。
私の中では正直、辛い時にそばにいてくれなかった、嬉しい時も悲しい時も一緒に過ごせなかった、そんな家族、両親を今更いたわることもできない、でも、不思議にも安心している自分に、とても複雑だった。
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