第36話 HAPPY NEW YEAR

お正月といえば・・・。

小さい頃に楽しみだったのはおせち料理でもなく、お年玉でもなく。

年賀状だった。

おかしなことかもしれないが、私は同じ施設の仲間や、園長、職員にも年賀状を出す。

差出人、宛先、ともに住所は一緒だ。

それでも、私は毎年年賀状を出していた。

もちろん自分宛にくるものが楽しみで、代表で職員が受け取る年賀状のあの分厚い中に、自分宛が何枚あるのか。

学校の友達からもたくさんくる。

住所を交換して、年賀状書くねって約束するから、必ず送られてくる。


年賀状は新年の挨拶をするツールであることを、学校で習ったとき、私は感動を覚えた。

手紙を書いたり、もらったりするのが好きな私は、きちんと新年の挨拶を、年賀状というものを通して、元旦にできるということが、すごく清々しいきもちになったのだ。

クリスマス前に出さないと元旦に届かないと言われて、毎年、結局一枚、二枚、書いて満足してしまい、忘れてしまっていて、ギリギリになって寝る時間を少しずらしてみんなの分を書いていた。


そして、新年、元旦を迎えて。

お節料理や、お雑煮などを囲んでいる時に年賀状を渡される。


毎年、たくさん届く年賀状には必ず、

「お餅の食べすぎに注意してね!」

と書いてあることが多い。

でも、実際私は食べ過ぎるということがなく、少食で、食べるスピードも遅かったため、お雑煮のお餅は1個ではなく、1個の半分。

それで十分なのだ。


お節料理では、黒豆が大好きで、小皿に必ず自分の分を確保しておく。

あとは卵焼き。

お煮しめもすきな具材だけとっておく。

あと海老も。


そして、ゆっくりゆっくり堪能する。

祝い箸の袋に、

「結良」

と書いてあることがとても嬉しかった。


食べたら、いつもどおり遊んだりもするけれど、お年玉を園長や、あしなが会の方から預かったなどの寄付で頂く分をもらって、みんなでいくらか数えて、3日までは職員に預ける約束だ。


そのあとは、年賀状を眺める、外で仲間と遊ぶ、ずっと寝ているお姉さん、お兄さん。


さまざまにお正月を過ごす。

それでも、外泊や面会、外出届を出していた仲間はその場にいない。

お土産話を自慢してくるのもわかっている。

そんな気持ちを察してか、2日はみんなで、すきな映画を見に行くことになっている。


アニメの映画組と、それ以外組に分かれて、映画を楽しんだ。


そして、映画のパンフレットを買ってもらい、グッズも買ってもらい、

大満足で帰るのだ。


3日は朝におせちをいただいてから、祝い箸を綺麗に洗って、それをみんなで、袋にまとめて、園長に渡す。それを園長がどうするかはそのときは知らなかったが、とにかく渡すのだ。


そして、だんだん、日常にもどる。

特別な3日間は、意外に楽しく、かるたや福笑いも、飽きるほどしたし、百人一首も、たくさん。

笑って笑って、毎年明るいお正月からスタートするのだった。

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