第30話 民族大移動
施設では何ヶ月かに一回、クラスの席替えのように部屋替えがある。
次は誰と同じ部屋になりたいとか、どの部屋で寝たいとかそういうことを話し合う時間をもってもらえる。
そして、できるだけみんなが平等になるように部屋替えをしてもらう。
小学校高学年になると、次々と、年下が入ってくるから、最初は可愛いと思うのだけれど、だんだん一人で過ごしたいと思うようになる。
それが、ないものねだりというものか。
一番端っこの部屋で、3人ではなく2人がいいと希望をだしたが、人数の関係で、一番端っこは叶ったが、3人部屋となった。
そして、小学校低学年の子と、高校生のお姉さんと同じ部屋になった。
二段ベッドがふた組あるが、そのうちの一箇所があく。
でも、私は絶対落ちることを怖がり下をとる。
高校生は上にいたがるので、上。
もうひとりはやはり低学年、下ではなく、大人ぶって、上にいく。
あいた一箇所は荷物置きに使ってもいいのだが、
「ショートステイ」といって、何日かだけ、親の都合であずけられる子がいるからその子達のためにとあ開けておいた。
部屋に園長がきて、部屋のことを見て回っていた。
みんなで自分たちの荷物を移動させる。
机やベッドはそのままで荷物を動かすだけ、でも、引越し状態でその日は一日を使って移動する。
埃まみれになる子もいるので掃除機が何台も出動。
そして、私はべあをお風呂に入れてあげる日。
部屋を移動するときに布のハギレをたくさんもらったので学校の裁縫セットで服を作ってあげるため、きれいにしてあげた。
部屋が落ち着いたら、もうお風呂の時間。あっという間にごはんの時間。
そして、部屋を移動した時の恒例の自己紹介と、誰の部屋かわかるようにかんたんな写真つきの看板を作る。
そして、あっという間に寝る時間。
べあはまだ乾いてなかったので、窓辺において、部屋移動した、お引越しした一日目はあっという間に眠りに就いた。
部屋移動は本当に、何ヶ月かに一回の気分転換というか、いろんな人と仲良くなり、また同じ部屋になりたいと思う人もいれば、ウマの合わない人もいる。
夜中までうるさく音楽をかけているお姉さんもいれば、昼まで起こしてはいけないお姉さんもいる。
みんな、だいたいは
「ヤンキー」
と、呼ばれるものになっていくのだが、年下には絶対に偉そうにしない、そして、面倒をよく見てくれる。だから、私はだれと一緒になっても嬉しかった。
できるだけ、年齢がバラつくように設定されるのは、我慢や、兄弟がいた場合の家族構成などの勉強のためだと知るのは高校生になってからだった。
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