第27話 スニーカー。
つめたいうどんが食べたくなって、冷蔵庫を開ける。
冷やしうどんをする材料は揃っている。
今日は15時ごろから、祐也くんと、望美と、竹中さんとで出かけることとなった。
早めのお昼ご飯に、冷やしうどん。
まだ、初夏とも言えない、梅雨にも入っていないのに、夏日のような暑さで、自然界も調子がくるってるのではないかと思ったりもする。
夏にしかいない虫や、夏にしか咲かない花が咲いたとか、テレビでも賑わっていた。
冷やしうどんにはたまらない、生姜。
そして、私は市販のつゆを使わない。自分でその場でぱぱっと出汁をとり、醤油を少しだけきかせてすぐに冷ます。氷が入る分薄くなることも計算して、少し濃い目につくるのだ。
生姜をすりおろし、ネギを刻んで、もみ海苔をパラパラ、すりごまを少し足して完成。
そして、食べるのが遅い私は、11時半から実に1時間ほどで食べ終える。
食べたあとは、すぐに後片付けに入る。
一度座り込むとどうしても次に動くのが億劫になってしまうから、すぐに片付ける。
片付けたら、出かける準備を始める。
・・・のだが、なかなか着ていく服が決まらず、望美にメールをした。
望美はとてもおしゃれだし、かと言って、ブランド物をジャラジャラしてるわけではなく、行き届いた清潔感と、着こなしの工夫で、着ているものが高価に見える。
望美から、なんでもいいし、気楽な格好という返事が来た。
気楽な格好。
Tシャツにジーンズ?
それじゃあ、あんまり可愛くないし・・・。
スカートを履いていくのもなぁ・・・。
みんなでご飯を食べるまでに遊ぶとしたら、室内での遊び、きっと、ボーリングやカラオケ。
だとしたら、ラフな格好がいいな、メイクもしなきゃ・・・、などといそいそとやっていると、望美からメールが届いた。
緊張して何着て行こうか悩んでいるという心情までよまれていることに少し焦る。
結局、Tシャツの上から、薄い黄色のネルシャツ、そして、ジーンズ、スニーカーで行くことにした。
バッグが問題だ。
リュックなんてそんな子供のような格好はできないから、でも両手はふさぎたくないし・・・。
肩からかけるバッグを確か、頂いたような。
ゴソゴソと、クローゼットを見渡しながら探す。
そんなに物は持たない主義だけど、一人暮らしだから、家庭用品も全て収納しているから、部屋にはあまり置いてない。
整理棚の端っこに肩からかける紐が見えた。
黒いショルダーバッグ。
わりと、いろいろ入る。
財布、定期、携帯、ハンカチ、除菌シート、ほかにいるものあったっけ・・・
段々気持ちが高ぶるのがわかってくる。
楽しみだけど、緊張する。
どこに行くにも緊張と一緒。
でも、いい緊張感だと思ってるから、ストレスにはならない。
簡単にすませるはずだったお化粧にも気合が入る。
いつもより少し、手間をかけて、お肌を整えてからお化粧した。
ちょっとお肌のトーンが明るくなった。
待ち合わせに遅れないように、しっかりと、スニーカーの紐を結び直して、
つま先をとんとんとして、ルンルンで扉を閉め、かけ忘れそうになった鍵をかけた。
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