第17話 ランチボックス

遠足の日。

一番苦手な日だ。

というのも、気心の知れない同学年のやつらと、何が楽しくてバスなんぞ借りて、わざわざ遠いところに行ってお弁当を食べて帰ってくる必要があるのか。

そして、わけのわからない、

「遺跡」

とかなんかを、見学して帰る。

行く前はとにかく嫌がった。

体温計を施設の保健室から盗み、あたたかいところにあてて、熱あるっぽい雰囲気で職員に言っても、おでこに手を当てられてはすぐにバレてしまう。

いつも、お弁当を楽しみに行きなよ、って言われるのだが、

食べるのが遅すぎて、そんなわけにもいかず、ほとんどを残して帰ってくるので、楽しみもない。


当日。

結局学校までいつもより早くでていく。

小学校にあがると、施設の仲間は倍以上に増える。

同じ小学校に通うのだが、クラスは別々だ。

そして、別々ながらも、一緒に登校する。

あいちゃんと登校。

「嫌だなぁ・・・」

というと、

「えー!楽しみじゃないの?」

と、不思議そうに驚くアイちゃんを見て、また視線を地面に落とす。

行きたくないとまでは言わなかったが、どうしても気が進まない。

とはいえ、学校についていざ、バスにのり、現地に着くと、

異世界にきたみたいな気分になっていた。

あっという間に探検とやらは終わり、お弁当タイム。

その日のお弁当は、好きなものがたくさん入っていた。

卵焼き、ウインナー、かぼちゃ・・・。

おかずを交換したりして楽しく食べた。

ほとんどを食べ終えるほど時間があった。

クラスの友達は自由時間だと、走り回っていたが、私はお弁当を最後まで堪能していたところで、担任の先生がかけより、

「藤本さん、そろそろ、号令の時間だから、しまおうか。」

先生の配慮で、私は準備の遅いだらしない子にならなくてすんだ。

そして、午後からも、なにやら興味はないが何やら珍しいものをお土産に頂いた。

土がついたなにかの破片。

話を聞いてなかったから、ひとまずビニール袋に入れて、リュックに閉まって、帰りのバスに乗り込んだ。

みんな疲れてか、バスの中は静かだった。

そして、私は、担任の先生に揺さぶられるまで、眠ってしまった。


学校に帰り着いたとき、あいちゃんと合流し、そのまま施設へと帰る。

この時に必ず先生は私やあいちゃん含むみんなに、

「帰ったら、お家の人に今日のお土産をみせてあげてください、そして、感想文を書いてきてくださいねぇ!」

と。

お家の人ね・・・。

いつも、この言葉に違和感を覚える。

でも、特別扱いなどされないので(施設からの、児童、生徒の多い地域であるがゆえ)、さほど何ともない顔をして帰る。


職員に見せようとしても、他の子が先に見せているので、仕方なく、寝る前にみせることになる。


寝る前に職員に見せた。

何とも言えない、この破片。

どうとも取れないこの破片。

職員は、

「ゆらちゃん、これ何?」

って聞くけど、

「ゆらもわからない」

と答える。

暑かった?寒かった?などと話しかけられて、少し和んできて、安心感からかしっかり眠気が襲ってきたので、早めに就寝した。


遠足なんて、誰が作ったのだか。

凄く疲れる。

と、毎回思っていた。


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