第6話 原罪

同じ罪を幾度となく繰り返して、この世が終わるまで延々とつづけて、すべてのものが草木に還るまで女を愛し、男を憎み、女を妬み、男に恋して過ごそうか。鋭い言葉で、柔らかい肌で、尖った爪で、長い髪で、包んで貫いて焼いて煮詰めて、やがて弱々しい魂の繭だけになったあなたをかき抱いて、この世の終わりを共に眺めようか。伸びてゆく草木に埋もれる石碑には、いにしえの神々が封ぜられて、やがて彼らが目覚めるとき、熱い血潮が雨となって大地をしとどに濡らし、私の髪を伝って肌をなぞって虚ろになった粘膜を満たし、悲しみが悦びがざわめきがとどろきがすべての声となって私の唇から発せられるとき、あなたの名前は涙とともにただ一度だけ呼ばれる。

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