第27話

 私は侍女たちの助言に従い、入浴の時から頑張りました。

 裸でお世話するよりも、湯浴み着を着た方が殿方を欲望に導けることも、侍女たちから教わったのです。

 確かにアレクサンダー様は、私が今まで見たこともない表情をされていました。

 それが欲望の表情なのか、戸惑いの表情なのか、経験値の低い私には分かりませんが、今までにないアレクサンダー様を引き出せたのは確かです。


 浴室でのお世話の後は、慰安室でのマッサージです。

 今日に限ってアレクサンダー様と私しかいません。

 ぎこちない未熟な技だという事は、やっている自分自身がよく承知しています。

 ですから技ではなく真心でお世話させていただきました。

 一生懸命お世話させていただきました。


 最初は私のなすがままだったアレクサンダー様ですが、途中から私にもマッサージを返してくださいました。

 私の事を壊れ物のように優しくマッサージしてくださいました。

 互いに思いやってマッサージを繰り返しました。

 痴態と表現すべきと知ったの後の事です。


 アレクサンダー様と私は、夢中でマッサージを施術し施術されました。

 いつの間にか衣服を脱ぎ捨てていました。

 生れたままの姿になり、同時にマッサージを繰り返すのです。

 身体中余すことなく、侍女たちが教えてくれたように、手だけではなく口や唇や舌まで使って、精魂込めてマッサージをしあいました。


 途中でアレクサンダー様が子種を放たれました。

 何度も子種を放たれました。

 私も何度も気を失いました

 アレクサンダー様は私が気絶してもマッサージを中断されることなく、私が目覚めるまでマッサージをしてくださいました。


 ですが、それでも、交合には至りませんでした。

 アメリアの呪縛はあまりのも強いのです。

 相思相愛の相手、運命の相手を失う事は、これほどの傷を残された者に与えるのだと、改めて思い知りました。


 ですが、希望もあったのです。

 互いに愛情をもってマッサージする事はできるのです。

 正常な交合にまでは至りませんでしたが、子種を放つところまではできました。

 これならば、アレクサンダー様の子供を私が生むことも、不可能ではないと思うのです。


 事細かな技は分かりませんが、侍女たちに聞けば教えてくれるかもしれません。

 恥ずかしがらずに侍医に聞く必要もあります。

 恥を忍んで、踊り子や売春婦に教えを乞うことも厭いません。

 大切な事は、私がアレクサンダー様を愛しているという事です。

 私がアレクサンダー様の子供を欲しいという事です。

 他人の考えなどどうでもよい事です。

 私は私の愛を貫くだけです!

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