第21話
「ウェルズリー侯爵令嬢ソフィア。
この度の働きは素晴らしいモノであった。
攻め寄せる敵国軍勢を抑え、裏切者を斃したことは殊勲大である。
その軍功を表し、特別に侯爵家当主就任を認める。
ソフィア嬢は本日ただいまより史上初めての女侯爵である。
これよりはウェルズリー侯爵ソフィアと名乗るがよい」
青天の霹靂です。
王家がこのような手段をとってくるとは思いませんでした。
しかしこれでは、王家との対決方針を固めていたのに、水を差されてしまいます。
私にはどうするべきか分かりません。
アレクサンダー様が苦虫を嚙み潰したような表情を隠さずにおられます。
判断に困っておられるのでしょうか?
それとも、さらなる条件の積み上げを要求されておられるのでしょうか?
「オールトン侯爵家令息アレクサンダー。
アレクサンダーも、この度の働きは素晴らしいモノであった。
攻め寄せる敵国軍勢を抑え、裏切者を斃したことは殊勲大である。
その軍功を表し、特別にオールトン侯爵とは別に従属爵位を与える
これよりはバルフォア伯爵アレクサンダーと名乗るがよい」
それでもこの程度ですか。
王太子であるウィリアム殿下がわざわざやってきて、この程度ですか。
もしかしたら、王太子をよこしたことを褒賞とする気なのかもしれません。
アレクサンダー様が冷笑を浮かべておられます。
敵国、サンケンブリッジ王国の寝返り条件の方が遥かに好条件です。
あれほどの被害を与えたイヴリンを押し付けておいて、この程度の褒美や賠償で、私たちの心をつなぎとめられると本気で思っているのなら、王家はバカばかりです。
「さて、次はソフィア卿個人に対する詫びである。
今まではイヴリンの偽りの話を信じ、ソフィア卿に対する評価を間違っていた。
ソフィア卿の魔力に対する評価が低すぎた。
魔力を正当に評価すなら、王族に準じた待遇にすべきであった。
容姿で魔力の評価を不当に下げることなど、あってはならない。
ソフィア卿を国王陛下の養女とし、魔力に相応しい王女待遇とする。
ソフィア卿が生む子供に関しても、どのような容姿に生まれようと、純粋に魔力だけで評価し、王族に相応しい場合は国王の養子として王族待遇を与える」
なにも、なにも考えられません。
平民の容姿に生まれた私が王族待遇?
私が生む子供が私のような容姿に生まれても、魔力さえあれば王族待遇が与えられるのですか?!
全身から力が抜けて、その場に倒れてしまいました。
私は、今初めて気がつきました!
私は、自分が生む子供が、自分と同じ平民容姿で生まれてくることを恐れていたのです!
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