第3話ウィリアム王太子視点

「ウィリアム、今回の件をどう思う」


「イヴリン叔母上が全ての元凶ですね」


「そんなことは聞いておらん!

 今後どうすべきかを聞いてるのだ」


 やれ、やれ。

 国王陛下にも困ったものだ。

 肉親を可愛がるのは悪い事ではないが、それが国が乱れる元凶なら処罰すべきだ。


「では何も言うべきことはありません。

 原因を明らかにしなければ、適切な対処など不可能です。

 国王陛下が私心で王政を私なされると言われるのなら、臣下には口にする言葉など一切存在いたしません。

 それでも口にする臣下がいるのなら、それは命懸けの忠臣か、国王陛下におもねって利を得ようとする佞臣でしょう」


「……ふぅう。

 分かった、ウィリアム。

 余が悪かった。

 今回の元凶はイヴリンと余だ。

 それを認め今後は同じことをしないようにする。

 だから王太子として今後の処置をどうしたいか申せ。

 だが忘れるな!

 正義正道が必ず通るわけではないぞ。

 その口が原因で、早死にする危険もあるのだぞ」


「分かっております、父王陛下。

 相手が譜代家臣と言えど、軽々しく本心を語ったりはしませんよ。

 押しつぶすような王家王国の責任を感じながら、それに屈することなく担い続けておられる父王陛下だからこそ、本心を話せるのでございます」


「お世辞を言っても何も出ぬぞ。

 それでどう思うのだ?」


「全てはソフィアという従妹を調べてからです。

 危険な状況でしたから、すでに多くの情報を集めていますが、直接本人に会ってみなければ断言はできません」


「ウィリアムは期待しているのだな。

 しかし……ソフィアは平民の姿をしているのだぞ?」


「それが愚かだと申しております。

 貴族と平民の違いは、姿形ではなく魔力の有無です。

 見た目に惑わされるなど、愚の骨頂でございます」


「その考えが危険と言っておるのだ。

 見た目に惑わされる貴族は多い。

 いや、ほぼすべての貴族がそうだといえるのだぞ!」


「分かっております。

 だから父王陛下以外に話したこともありません。

 我が国は歴史が浅く、古き時代の記録がありません。

 古代魔帝国時代には、黒髪黒瞳の魔法使いが普通にいたかもしれません。

 何より大切なのは、ソフィアの魔力です。

 侯爵家当主の魔力を持つウェルズリー侯爵と、侯爵家に降家させられる魔力しかなかったイヴリン叔母の間に、王族に相応しい魔力を持った娘が生まれたのです。

 先祖返りなのか、何か法則があるのか、調べるべきです」


「調べるだけなら構わん。

 だがウィリアムはソフィアを王家に迎えるべきだと思っているのだろう。

 それは危険すぎる!」


 やれやれ。

 父上はこの国の現状を理解しておられるのか?

 そんな事を言っていたら、他国の軍門に下り、王族は皆殺しになるんですよ。

 容姿に拘らない広い心の持ち主か……

 アレクサンダーには期待していたんだがな……

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