第11話
「これで一安心だね、ソフィア」
「はい、アレクサンダー様。
これでアレクサンダー様が狙われることはないと思います」
「いや、私の事はいいんだよ。
ソフィアが害されることがないようにしたいのだよ。
ウェルズリー侯爵はともかく、イヴリン王妹を抑えられたのは大きい」
アレクサンダー様が私の事を考えてくださっています。
とても嬉しいです!
以前の事を考えたら、踊りたくなるくらい幸せです。
この幸せを失わないためなら、どんな非道な手段も厭いません。
実の母であるイヴリン王妹に対しても同じです。
私にとっては形式だけの母です。
なんの愛情もありません。
むしろ憎んでいると言っていいくらいです。
だから今回の策は胸のすく思いでした。
アレクサンダー様と私は、ウェルズリー侯爵を説得したうえで、国王陛下に願い出たのです。
国王陛下の娘、王女を養女にくださいと。
恐れ多い事だとアレクサンダー様は申されますが、どうしても必要な事です。
隣国の寝返り工作と侵攻が激しく、王家もウェルズリー侯爵とオールトン侯爵家には配慮しなければいけない状況です。
アレクサンダー様が子供を残すことができず、私がアレクサンダー様以外の種を受け入れるくらいなら死ぬと言っている以上、他の方法で三家の絆を結ばなければいけないのです。
国王陛下から見ても、姪の私や私が生んだ姪孫よりは、自分の娘や孫の方が可愛いし信用できるのです。
妹のイヴリンは可愛いでしょうが、平民の姿をした私には、愛情を持っているとは思えないのです。
その想像は、謁見して事実だと確信しました。
私は自分への悪意や蔑みには敏感なのです。
王女である自分の娘を、私の養女にするのは嫌悪していますが、オールトン侯爵家の養女となった娘が、次期ウェルズリー侯爵に嫁ぐことには、凄く興味を引かれたようです。
アレクサンダー様と私は、ウェルズリー侯爵に新たに子供を作ってもらうことにしたのです。
愛人との戯れのために子供を産めなくなったイヴリン王妹ではなく、ウェルズリー侯爵の愛人との間にです。
何人生まれてもいいのです。
男の子が生まれたら、ウェルズリー侯爵を継がせて、オールトン侯爵家の養女となった王女が嫁ぎますから、三家の絆が強まります。
女の子が生まれたら、オールトン侯爵家の次期当主に嫁がせます。
それでウェルズリー侯爵とオールトン侯爵家は再び血で結ばれます。
養子縁組と婚姻で三家の絆は固く結ばれるのです!
ですが、そこにイヴリン王妹は関与しません。
愛人を優先して、私とアメリアが生まれた時点でウェルズリー侯爵との交合を拒否したイヴリン王妹は、国王陛下から見て苦々しい存在だったのです。
私はイヴリン王妹の立場が悪くなったことに喜びを感じてしまいました。
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