第3話 未来の技術
小型宇宙船の中で2人の男が話していた。
この者たちの任務は、侵略する星の偵察だ。
「なあ、ローマー、本当に侵略に参加するのか?さすがに危ないんじゃないか?」
相棒のキースがあくびをしながら聞いてくる。
彼とは、第四次の時共に戦った戦友だ。
「まあ拒否はできないだろうからなぁ。てか本当にほかの星に攻め込むなんてことになるんだな。まるでSFの世界だな」
「俺たちは悪役だな」
「確かに」
多分、ほかの星との戦いはすさまじい規模の命の奪い合いになるだろう。
自分の体にライフバッテリーのケーブルを繋ぎながら横目で返した。
体が機械ということで、疲れというものが感じられないので、気が付いた時に充電池をそれなりに満たさないと、わずかな残量を残して強制的にシャットダウンされる。
身動きが取れずに他人に迷惑をかけるので、やってしまったら調査員としては失格だ。
間違いなく解任され、国の信頼を失うだろう。
最近、内部電池の残量が減るごとに大きくなる疲労感を追加するアプリを入れようと考えていた。
しかし、容量の余裕があまりなく、整理が面倒くさかったのでいろいろと後回しになっていた。
「お前、バッテリー大丈夫か?」
キースに向かってライフバッテリーをかざしながら言った。
「何言ってんだ。俺は
大柄な彼がにやりと笑みを浮かべて答える。
人々の体は、基本的に、
そしてT型は前者の二つよりはがっしりとした体つきで、人工筋肉の量もO型の次に多い。
Y型を使っている男性も少なからずはいるが、T型のほうが割合的には多いと言って良いだろう。
O型は恐らく、地域にもよるが全人口の1割にも満たない程度で、主に俺たちのような軍人が使っていることが多い。
バッテリーが2つあって、体の一部を損傷しても動けるようになっている。
軍人のO型率は非常に高く、T型の俺が珍しいくらいだ。
ほかにも、レース競技などに特化した、I型と並ぶ小柄な
「ああ、そうだな」
彼のにやけの意味を理解してから、俺も笑みで返す。
「てかローマー。今の速度はドンくらいなんだよ?」
「90%だよ。もう少しでワープだな」
「OK。じゃあ記憶処理の準備するか」
よっこらっせ、という掛け声とともにキースは立ち上がり、後方の機械をいろいろいじり始めた。
「ありがと。よろしくな」
軽く礼を言うと、自動操縦を切り、いまどき珍しい手動運転に切り替えた。
19世紀という大昔の天才、アインシュタインの特殊相対性理論より、光速に近づけば近づくほど、その移動している物体の時間の流れは外から見たときとてもゆっくりと年月を重ねていく。
その時、移動している本人たちは普通に過ごしているので、長い距離を移動するとなると実に退屈だ。
理論からそれ専用の宇宙船を作ることについに成功した人類は、光速に限りなく近しい速度で移動し、またその期間の記憶を消すことによって、人類は実質的なワープ技術を得た。
自動じゃない理由は、今の技術では光速に達するほどの速度で動く宇宙船は、宇宙船本体の機械によってはまだ制御できないらしく、熟練の操縦士に委ねるしかないのだという。
それが理由として真実なのか俺には定かではないが。
よって現代の宇宙船の速度の表し方は、
そしてついに光速の99%まで加速。
これが今の人類の限界だ。
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