第三話『パーティ設立』
夜である。
レンタは今日は草原でレベル上げに励んで居たので今日は草原で野宿となる。
テントを張って火を焚いた後オニウサギの肉が焼かれるのを待ちながら、レンタは今日の自分の活動成果を確かめていた。
[Name:レンタ・ダンカー Lv:9
HP:130 MP:96
物理攻撃力:51 特殊攻撃力:74
物理防御力:54 特殊防御力:68 素早さ:56
<スキル>
黒き
<装備>
鉄の剣…初期装備。物理攻撃力+4
革の鎧…初期装備。物理防御力+3
革靴…初期装備。素早さ+3
ムーンリング…魔物撃破報酬。HP×1.5倍。 ]
今日は毒蜂を倒した際に落としていったムーンリングと何時の間に習得したMP強化小が収穫だった。
MP強化というのはMP量が無くなっても多少魔法が使える効果と魔法の威力が高くなる効果があり、小中大とMP強化で左から右に行く程その効果が大きくなる。
またムーンリングはステータスに記されている通りHPが1.5倍になるレアアイテム。
どうやら毒蜂はこの草原の中で強い部類に入るらしく振り返れば確かに戦ったモンスターの中でも割と苦戦した相手だったと思う。
お尻の針から毒を噴射してレンタを毒状態にしたり飛び回る為攻撃が当たらない。
結局、風巻と石の礫コンボで討伐する事が出来たのだが貴重なHPポーションと状態異常ポーションを早々使ってしまい痛い思いをする事になった。
しかしその成果に見合ったアイテムが手に入った為まあ良いのでは無いだろうか。
「さて、ステータスも見たしそろそろオニウサギの肉を食うか。」
すると、突然何処からか何かが焦げた様な臭い匂いがレンタの鼻に入ってくる。
「あ、肉焦げてる…。」
オニウサギの肉は白み掛かっているが肉厚が大きく適度に焼けば良い匂いが入ってくる物だが、今のレンタの目の前の肉は見事に黒く仕上がっており苦くツンとくる匂いを漂わせていた。
結局只でさえ少ない食料を残す事など出来る筈も無く、泣く泣く焦げた肉にかぶりついたレンタだった。
朝になりレンタは荷物をまとめると次の街に向けて歩き出した。
次に訪れる街、アラブリスタはスラドエ王国と比べれば小さい街だが中規模ギルドや商店などが多く商業国として有名である。
ギルドは冒険者証明書を作成したりパーティを組んだりと冒険者手伝いを主とする。
冒険者証明書はレンタはスラドエ王国で作成した為問題無いが、勇者を倒す為に人数と戦力で押し切る為にパーティを組むのは自身にとって得と考え、レンタはパーティ募集用紙を貰う為アラブリスタに着くと真っ先にギルドへと向かった。
ーー冒険者ギルドにてーー
そこはかなり大きい建物だった。
煉瓦を重ねて作られた薄暗い建物からは食べ物の匂いが漂っている。
中に入ると多くの冒険者が丸テーブルの周りに座って食事を楽しんでいるのが最初目に入った。
どうやら酒場が併設されている様で奥にはカウンターがある。
カウンターに向かう途中冒険者(皆魔族)からチラチラ見られている事に気付く。
新参者が珍しいのか魔王の息子が珍しいのか注目を集めているようだ。
だが、まあ悪い気はしない。
カウンターは冒険者証明書係とパーティ募集用紙配布係の二つがあり、それぞれ女性職員が二人ずつ座っている。
レンタは真っ直ぐパーティ募集用紙配布係の一人の女性の列に並ぶ。
櫛で整理された茶髪長髪のロングヘアと黒い瞳を持っている巨乳の女性で、口から八重歯が見える。
恐らく種族は女性の
「では早速ですが冒険者証明書を提示して頂けますでしょうか。」
レンタが彼女の言う通り冒険者証明書をテーブルに提示すると女性は一目見て頷き、冒険者証明書をしまう様に促した。
そしてレンタが冒険者証明書をしまうと女性は後ろの棚から一枚紙を出し机に置く。
「では簡単な説明を致します。これがパーティ募集用紙です。これを書いて酒場にございます掲示板に貼っていただけば運が良ければ他の冒険者とパーティを組む事が出来るのです。それではこちらに募集要項、冒険者様の御名前、締切期日などを書いて下さいね。」
レンタは受付からボールペンを借りてそそくさと書き上げる。
「…はい有り難う御座います。あとはこちらで判子を押した後掲示板に貼っておきます。では、最後にこのサイン色紙に貴方のサインをどうぞ。」
「…は?」
「どうぞ。」
一瞬言葉の意味が分からなかったがその威圧に押されてボールペンでサインを書く。
「アンナさんと書くのもお忘れなく。」
どうやら彼女の名前はアンナっていう名前らしい。
「はい。書きました。」
「有難う御座います。ではこちらはうちの家宝にさせて頂きますね。」
アンナさんは満面の笑みで頭を下げてレンタを見送った。
翌日ギルドの酒場で豚汁の様な物を食べていると金髪女騎士が話しかけて来た。
「あの、失礼ですが…」
と、声を掛けられた為後ろを振り向くとレンタは目を奪われた。
身長がレンタより少し高いくらいの銀髪黒眼の美女だった。
銀髪の美女は一見クールな印象をしていて無表情にこちらを見て話しかけていた。
重そうな金属鎧に隠れて体型はよく分からなかったが見た感じCカップくらいでとても色気を醸し出していた。
「あの掲示板に貼ってあったパーティ募集の募集主は貴方だろう。もし席が空いていたら私を入れては頂けないだろうか。」
「え、ええ良いですよ。」
「ああ、そう言うと思っていたよ。私を入れないなんて有り得ないもんネ。」
何だろう、何故かイラッと来る言い方だな。
「…もし入れないと言ったら?」
「その時は何円欲しいのか聞くわ。それが一番手っ取り早いものネ。」
買収かよ。
この女、見た目は良いが中身は駄目系だな。やんわり断ろう。
「いや〜実は初心者なので、上級者の方は今はお断りを…」
「説明しよう。私はフランデリ、職は騎士で種族は
「宜しく!」じゃねぇ…。
でもこのままじゃ埒があかないから話だけ聞いてなんとか断ろう。
「それだけ自信があるんだったら他のパーティでも良いのでは?」
「ああ私もそう思って他のパーティ募集主の所にも行ってみたのだが『話は分かったけど何か無理だからごめんね。』ってパパっと言って断られてしまったのよ。全く意味が分からないわ。」
くそぅ同じ思考回転と同じ断り方がもうされていた。
「それに募集要項の所に勇者を倒す覚悟がある人募集ってあっただろう?勇者を倒すのだったらば人数多めの方が良いしこのパーティにとっても得だと思うのだが。」
どうやら彼女はとてもやる気でこのパーティに入る事前提で話を進めているようだ。
まぁ断るのはフランデリの強さを見てからでも良いだろう。
その様な事を考えている時フランデリが
「…で?入れてくれるのか?」
と、聞いてきたので
「まぁ良いだろう。」
と、答えた。
<本日の備考>
フランデリは目上の人物に対しても親しみを持つ為ため口で話しているが、その言い方を誤っていて、さらに気付いていない為パーティ募集主に断れやすい。
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