第16章
「エルダースノウは、ネージュの知識、扱い方を教えている学校です。皆さんはネージュを使えると思いますが、正しい使い方、知識は少ないはずです。」
僕は昨日力を使えるようになったばかり。
生まれたころから使えているほかの者より、ネージュについての理解が乏しい。
正直なところ、どうしたら力が使えるのかもわからないような状態だ。
「ネージュには“エレメント”と呼ばれる、4つの要素があります。“アイリス”、“ネリネ”、“エリカ”、“アネモニ”、この4つのエレメントからネージュは構成されており、割合の多いエレメントが皆さんのエレメントということです。
1つ目、“アイリス”。力を活性化させ、通常より強い力を使える。強化することを得意とします。
2つ目、“ネリネ”。力を抑えて、適応させる。力を変化させ、適応させていくのを得意とします。
3つ目、“エリカ”。力を安定させ、継続させる。一定の力を長時間使うことを得意とします。
最後に、“アネモニ”。力を活動的にさせる。力の発動、速度を速くさせるのを得意とします。
自身のエレメントが得意な分野ということですね。さて、どうやったらエレメントがわかるのかですが、まずは俺のエレメントを知ってもらおうか。」
そう言ってヴェンは、1輪の花を手元に取り出し、
手を当てて、
力を込めた。
すると花が二回りほど大きくなった。
生徒たちから歓声が上がる。
「花が大きくなるのは、“アイリス”。この花は特別な花で、“エーテル”と呼ばれています。エレメントに反応して、変化する。では今度はフレイズ先生に行っていただきましょう。フレイズ先生、よろしくお願いします。」
「は、はい!では、いきます。」
ヴェンと同じように力を込めたが、
何の変化もない。
「フレイズ先生は、“エリカ”。安定させるのも得意とするエリカの場合、」
ヴェンは左右にエーテルを揺らした。
「このように花自体を固定させる。揺らしても揺れなくなります。」
全く揺れなくなった花を見て、生徒たちは再度歓声を上げた。
「エレメントは記録させてもらうので、順番に前に来てテストを受けてもらいます。その前に少し休憩にするので、10分後には再度席に戻ってきて下さい。それと、ナイズくんは少し俺のところに来るように。」
ヴェンは教室の外に出て行った。
僕は仕方なく彼の後を追った。
「やあ、ナイズ。体調はどうだい?」
「大丈夫です、お気遣いなく。」
「それはよかった。そうそう、君はネージュの使い方がわからないんじゃないかと思ったんだよ。わかるかい?」
「…いいえ。」
「そうだよね、君は昨日力を使えるようになったばかり。少しならすぐに使えるから、安心して。」
雪が降るところで舞台は始まる 冬空 幸 @yuki-ponzu
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