第7章
それから僕は情報収集のため、毎日図書館へ足を運んだ。
まずは“エルダースノウ”について。
“エルダースノウ”
15年前、ネージュの使い手は減少傾向になり始め、その中でも自由にネージュを使いこなせる者は少なかった。
対応策として、ネージュの使い手を育てるために作られた教育施設が“エルダースノウ”。結果、自在にネージュを使いこなせる者は増え、ネージュをうまく使いこなせず、力を使い余していた者たちが首都で働けるようになった。
ネージュとは何か。ネージュについて唯一学ぶことのできる学校。
ネージュの使い手であれば、老若男女誰でも入学することができる。
年4回行われている入学試験、ネージュの使い手であることが証明できれば、エルダースノウの入学生として認められる。
学校内でどのような教育が受けられるのかは、どの書物にも記載はなかった。
ジャムについては、記載はおろか、“ジャム”という言葉すら見つけられなかった。
図書館に通い始め、2週間が経った頃。
いつものように図書館に向かう僕に声をかけてきた男がいた。
「こんにちは、今日も図書館に向かうのかな?」
男は布を深く被っており、顔はほとんど見えない。
僕はそうですと答え、その場を去ろうとしたが、彼は話を続けた。
「そんなに図書館の本を調べても、君の知りたいことは見つからないだろう」
「…どういうことですか」
そもそもこの男は、僕が何について調べているのか知っているのか。
なぜ僕に話しかけてきたのか。
「そのままさ。君の知りたいことが記載されている書物はない。…そうだ、図書館長のルイスに話を聞いてみるといい。彼なら君の知りたいことを教えてくれるかもしれない。」
突然話しかけてきて、いったい何なのか。誰なのか。僕の知りたいことを本当にしているのか。分からないことばかりだ。
僕が返事に詰まっているのに気が付くと、男は去っていった。
去り際に口元が少し見えた。彼の口角は上がっていたようにみえた。
何が楽しいのか。僕にはわからなかった。
ただ、2週間調べてもどこにも記載のないジャム。何か知ることができるのなら今はそうするしかない。さっきの男の言葉は信用していいものかわからないが、手掛かりになりそうではあった。
図書館長のルイス・オーケイドは国の歴史について特に詳しい。
小さいときは、彼の話をよく聞きに行っていたものだ。
彼に話を聞きに行くことは、間違っているようには感じなかった。
彼なら、“ジャム”について知っているような気もした。
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