第6章




まだまだジャムについて分からないことばかりではあるものの、情報が全くない訳では無い。


気になる点はある。


ジャムは誰でも受けることが出来るのか。


出来るとすれば、どうして“ジャム”の存在はあまり知られていないのか。



ネージュの使い手を増やすには、もっと沢山の力なの無い者達に知ってもらう方がいい。


ジャムを受ける者が多ければ多いほど、ネージュの使い手が増えると思っていたが、その考え方がそもそも違うのだろうか。



受けるために何か条件があり、その条件がかなり難しい為、受ける者が減り、ジャム自体の存在があまり知られていないのかもしれない。



実際にジャムを受けた者に会うことが出来れば、1番早いのだが…。




「フィン、ジャムの成功者がエルダースノウに入学出来るのは分かった。そうなると、ジャムの成功者になれなかった者、“失敗した者”が居るはずなんだ。成功者の他に受けた者について、何か聞いてないか?」



成功者がいるのなら、“失敗した者”も居るはずだ。


成功者はエルダースノウに入学してしまう為話を聞けないが、“失敗した者”には会うことが出来るはずだ。



「そうか、成功者が居れば、失敗者もいる。その人に会うことが出来れば、ジャムについてもっと色々わかるってことだね。でも、僕がお父さんから聞いたことは、さっき話したことで全部。役に立てなくてごめんね…。」



「……そんなことは無い。むしろ感謝している。教えてくれてありがとう。」




彼は申し訳そうに下を向いていたが、僕の言葉を聞いて、少し照れながら言った。



「僕もナイズと一緒に学校に行きたい。僕とエリアとナイズ、3人で行くことが出来れば、きっと楽しいと思うから。」



「あぁ、そうだな。」



そんな未来が来ることを考えて、僕は微笑んだ。




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エリーは食事の準備をやめて、2人分のお茶を入れてくれていた。


彼女はお茶を1口飲んで、嬉しそうに話し始めた。



「つまり、ナイが成功者になれば、一緒にエルダースノウに行くことが出来る。一緒に学ぶことが出来るのね!素敵!!」



「そうだな。取り敢えず、ジャムがいつ行われているのかだけでも分かってよかった。」



「そうね!次行われるのは2ヶ月後。それまでにもっと情報を集めないとね!…じゃあ、ご飯すぐに作っちゃうから、もう少し待っててね。」



そう言って椅子から腰を上げ、食事の準備の続きを始めようとした。



「僕も手伝うよ、今日のメニューは?」




僕達は2人で準備をして、食べ、片付け、それぞれの部屋に戻った。





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