第4章
それから僕は先ず、ジャムについて調べることにした。
エリーもジャムがどういうものなのかまでは聞いておらず、次のジャムがいつ行われるかも分からなかったのだ。
1番確かな情報を知っていそうなのは、フィンの父親だ。エリーが聞いた言葉もあるし、彼は優秀なネージュの使い手だ。もちろん首都で働いている。
きっとネージュを使える者しか知らない話がある。なぜなら、ネージュを使えない者には関係のない話だからだ。“ジャム”の話を除いては……。
早速僕はフィンの家を訪ねた。
だが彼の父親は既に首都の仕事に戻っており、そこにはいなかった。
「ナイズ、久しぶりだね。お父さんに話ってなんだったの?」
「あー…。まあ、ちょっとな。そう言えば学校に通うんだって?エリーが言ってた。」
彼は苦笑いして続けた。
「本当は僕、学校に行きたくないんだ。首都に行って役に立てる自信ないんだよ。でも、お父さんがどうしても、って…。1人で行くのが不安でエリアに相談したんだ。」
エリーも言っていたが、僕の予想通り。彼は内気な性格なこともあって、学校のようにたくさん人が居るところに行くのには不安があるのだろう。
「エリーは学校に行きたいって言ってた。僕もそれを止めたりしない。フィンの不安は分からなくはないが、せっかく学校に行ける“資格”があるんだ。頑張ってみたらどうだ?」
「…そうなんだ。てっきり、エリアはナイズと離れたくないと言うと思っていたし、ナイズもエリアを引き止めると思っていた。……君たちはとても仲がいいから。」
少し前の僕達だったら、確かにそうなっていたかもしれない。
だが、父が“ユイスト”になり、ジャムという実験で、力の無いものでも力を得られるかもしれないという事を知った。
僕は何としてでも“ジャムの成功者”となり、ネージュを使えるようになりたい。
今までたくさんの愛をくれた両親に恩返しをしたい。
そして少しでも、妹への劣等感を……
埋めたい。
「本当は僕だって行けるなら学校に行きたいさ。でも僕には“資格”がないから……」
フィンにかまをかける事にした。
もしかしてジャムについて何か知っているかもしれない、そんな期待を捨てられなかった。
「……っごめん、ナイズ。君にこんな弱音は無神経だったよね。僕の力を君にあげたいくらいだ…。」
「いや、僕の方こそ悪かった。」
やはり“ジャム”のことは知らないか……。
そう簡単に情報が集まるわけが無い。
この18年間1度も聞いたこと無い話なのだから仕方がないと思うが、これで手がかりが無くなってしまった。
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