第38話 「歌姫王女」の失敗

 旅に出ると!

 こういう毎日連載話がぷつんと切れてしまうというのが問題なんですね。

 で、「四代目」も現在止まっているんですが、まあこれはいいんですよ。その気になったらたぶん書ける。

 ただどーもこれは厳しい。

 というのも。


 そもそもこれは元々頭の中に美内すずえの「帰らざる氷河」の筋があったんですね。


 現代(70年代)北欧の小さな王国のサルビアの王と歌姫との間に生まれたエリナ。

 ほんの6~7歳の頃、王妃の追っ手から逃れ、母を途中で雪山に亡くし、一人になってしまい。

 路上で歌っていたけど、拾ってくれた相方になった男も彼女が病気になった時に捨て。

 施設に引き取られてしばらくは楽しく暮らしていたけど、エリナの服を着た施設の友が殺された時、自分の存在が周囲にとっても危険だと施設を飛び出し。

 その後ジプシーに紛れて偽名で13歳までヨーロッパ中を回って歌っていたところを有名芸能プロデューサーに見いだされてデビュー。

 ピアノの鍵盤の端から端まで音域があるという恐ろしい声(遺伝ですな)と、ジプシー時代に各地の言葉を覚えてその国の言葉で歌うという技も身につけていた彼女、20歳になる時には世界的スターになったんですな。

 そこでようやく故郷はサルビア、いつか帰りたい、とインタビューで。写真を見た王妃はぴきっ! となるんだけど、病床の国王が「呼べ」と。

 冒頭がそのサルビアに帰ってきた場面から始まって回想になるんだけど。

 舞台で母親の死の真相とかぶちまけたかった彼女だけど、その一方で今まで歌手として育ててくれたプロデューサーからも楽屋でプロポーズされると。

 そんで案の定舞台に爆弾が! 音響がだめになった時、父である国王が「お前は歌手だろう!」と激励。大劇場でも何も無しで朗々と歌う彼女に喝采。

 そこで気持ちが切り替わった彼女、元々は暴露するつもりだったことを止め、結婚と引退を宣言。

 そしてかつて母が国王に歌っていた思い出の曲を歌う中、国王は静かに亡くなり、王妃すらも感動に涙するという。


 復讐譚なんですが、何というかこの時代の美内すずえの作品ってのはお話に強さがありましたな。あれですよ。ガラかめの中で「ふたりの王女」ってありますが、あれをそのまま普通に作品にした様なものをがんがんに出してましたからなあ。

 「燃える虹」なんて、少女巌窟王なんですが、ヒロインをギロチンで殺される一歩手前までにするあたり凄かった。「はるかなる風と光」も今では無理だけどねー。


 とかそういう流れの話にしたかったんですが。

 あかんのですよ!

 どうしてもそうならない!

 何故か国王一家は革命でとらわれてしまうし、歌姫のおかーさんは祖国の革命運動に走ってしまうし、ヒロインはぬけてるし!

 どんどんずれてくんですよ!

 いや考えてみるとジプシーっていい設定ですよ。今は使えないでしょうが。原ちえこの「フォスティーヌ」もそうでしたな。隠したい子をジプシーの中に、と。

 真面目に国際関係考えるとうまくいかない!

 何でそうなるかわかんなくなったあたりで、昔はよく力業でまとめていたんですが、……そこまでヒロインに愛は持てなかった、というのが実情ですかねえ……

 最終的にはどっちの親も関係ないとこで、国際会議の一端である場で歌うというのがあったんですが、そこまで行くのは無理!

 ということで下げました。すみません! 

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