第5話 百合ばなしが何故かBLより読まれる今。

 カクヨムにバンド百合の「PH7」シリーズを再構成して置いてみたら案外読まれた、というのはなかなかびっくりだったんですわ。だってまあ、一応90年代少し前、とタグつけても、やっぱり昔書いたものでしたから。

 それともともとはBLのバンド「RINGER」を巡るはなしの中でも地味な位置づけだった女子のはなし。これも若い皆様からしたら昔のはなしですよ。


 そんだけど。

 何かここ最近急に百合コミック、小説が増えた気がするんですよ。

 マンガの「百合男子」を読んでた時点ではまだまだ多くは無いし、内容も「ただいちゃつく」「肉体関係ぽーん」「ぶっちゃけてるなーおい」的なものは見なかった気が。

 ところがここ数年で。

 BLが飽和したのか、それとも「社会人百合」が突出してきたのか。皆さん結構自分の感情に素直になったのか。


 ちなみに。

 ワタシにとっては何つか、BLより元々書きやすかったんですね。

 そもそもの「異様に執着する相手」の嗜好が「自分が描きたい、だけどどうしてもみたくないものばかりだから描けないもの、を描いてくれる人」でしたから、対象が男子になる訳がない。なりたいけどなれない自分、です。屈折してますね。「自分に描けない絵を描ける」ということは、「見たくないものを好んで見ることができる」ひとで。これはもう初めから無理ゲー対象ですね。


 だからまあ、無論男女関係の感情は更にわからない。唯一その昔中学の時に好ましいと思った男子は、「ピアノを弾く動作」が良かったということで、それ以上でもなし、そもそも「誰かと付き合っている」という様に見られるのも嫌だったし。いやそれ以上に「面倒くさかった」し。しかもこの対象はどっちかというと周囲の男子と比べると微妙にフェミニンな容姿を持っていた訳ですよ(笑)。

 そんでその後、「容姿で好き」なバンドミュージシャンにしても、一番メイクがきつかった頃のSUGIZOと、あの歳食わない小柄なひとですよ。「面食い」と言われましたねえ。間違ってない。前者は「醜悪すれすれの美」が好きだったし、後者はもう「バケモノ(褒め言葉)」として好きでしたから。

 だけどこの嗜好は、投稿していた様な時代にとっては致命傷でしたね。基本投稿する雑誌の場合、男女恋愛が普通でしたから。もうさっぱり感情が描けない訳です。

 BL雑誌の場合は、何かこれはこれでどうも違う感じがあり。

 結局はまあ、自分の感情の流れがどうも当時の世間一般とずれていたということなんですが。


 で、その中でも露骨にどーん、と自分にとって違和感の無い感情を叩き込んだのが、バンド百合と、「決して彼女には気付かれてはいけない。」「ホールドオン」な訳ですな。

 だからこの話が好かれると個人的には嬉しいですね。


 しかし逆に、これが読まれるということは、同じストレスを抱えた誰かが居る、ということでもあるんでしょうかね。

 「気付かれては~」は救いがあるのかどうかまだ迷いのある話ですが、「ホールドオン」は一応ワタシなりの結論をつけた話なんで、それで納得が行くとありがたいんですが。


 PH7はそもそも「中性」を意味してました。モデルにとってたバンドの名前が「未知数」ということと絡めて考えて。

 そんで、まあ明らかにワタシの中ではヒロインはMAVOちゃんで、「母親が最大の敵」というはなしです。「何故か」そういう話を書いてしまう自分が不思議だったんですが、これはまあ、母親が亡くなってからすとんと腑に落ちるものがありました。

 まあ基本的にそんな殺伐とした感情が根底にありますので、TEARとFAV、P子さんとDBという組み合わせはどっちかというとその本編の殺伐さの中の潤いだったというか。彼女達は客観的に、ある意味二次的に楽しく書いてましたから。

 だけど主人公の二人の感情は捻れに捻れてましたので、その当時は書けませんでした。というか、「母親/政治家」の動きが上手く想像できず。ただ最終的な「復讐」がどういう方法か、は決まってました。

 今なら書けるんでしょうかね? 当時よりはその辺りの知識はついたけど。

 そんで読んでくれる方が居るんですかね? 果たして。 

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