第3話 雨の日の惨劇、そして今日も厄日

 この前はいつも以上に酷かった。なんであんな事になったのだろう。


 それはとても雨がひどい日の昼過ぎ珍しく先生は外で魔法の勉強をすると言い出した。


 ……そして。


 マリエラはエリックに言われしぶしぶ雨の公園に来た。


 雨が降っていた為公園には流石に誰もいなかった。


「先生、こんな雨の中で何をやるつもり何ですか?」


「今から天候を変える魔法の勉強をしようと思う!」


「え、えっと……先生、それ本気で言ってるの?」


「ああ、その為にここに来た。さあ、やってみようか」


「先生、いい加減にして!何でいつもいつも、私に出来ないような高度すぎる魔法やらせようとするのよ〜」


「ん?マリエラなら出来ると思って考えてくるんだけどなぁ。無理か?」


「はぁ、あのね無理に決まってるでしょ!」


「じゃ、今日も俺が見本をみせる」


「ちょ、ちょっと待って!」


 と言うが間に合わずエリックは空に魔法陣を描いて呪文を唱えた。


 するといつもは失敗するのに今日は珍しく成功し、空は晴れわたり今まで雨だったのが嘘の様だった。


「えっと、これって珍しく成功って事かな?」


「フッ、当然。これが本来の俺の実力だという事だ!」


「でも、何か晴れたはいいけど、凄く暑くなって来たんだけど、これってどうなんだろう。あははは……」


 と苦笑しながら言った。


「そういえば、確かに暑いな」


「先生、いくらなんでも暑すぎだよ。この暑さどうにかして……」


 と言いマリエラはあまりの暑さにバタン!と倒れた。


 それを見て慌ててエリックは魔法で水を出した。だが、その水が勢いよくマリエラの口の中に入り、


「せ、せん……ゴボ、ゴボブボゴ。ぶふぁ〜」


 マリエラ水を吐き出し、急いで口を塞ぎ何とか防いだ。


 エリックはそれをみて慌てて、その魔法を解除しマリエラは何とか助かった。


 そしてマリエラは、


「あのねぇ、先生の魔法は確かに凄いとは思います!ただ、もう少し限度を考えてくれませんか!」


「ははは……確かにそうだな」


 そして魔法が切れるまでこの暑さは続いた。


 ……そして今日は。


(今日は休みだし、先生は来ないしのんびりと庭でティータイムといきますか)


 と思っていたら何処からともなくエリックの声が聞こえてきた。


「ごめんマリエラ頼みがあるんだが」


 と言うとマリエラはその光景をみて目を疑った。


「な、何でそんな状態になってるわけ?どうしたら犬が凶暴化して数匹も先生に噛み付いてるんですか!」


「それは後で説明する。だから、頼むこれどうにかしてくれ」


「何で私の所に来るのよ!他にいくらでも人がいるでしょ!」


「ははは……。いやぁ、マリエラがたまたま近くにいたから」


「意味がわからないんだけど。それに、私は犬苦手だから無理だよ」


 そう言われエリックは仕方なく無理やり噛み付いている犬を思い切り引き離そうとしたら、その一匹がマリエラめがけ襲いかかって行った。


「ちょ、ちょっと先生!いやぁ〜、うわぁ〜来ないで〜!だから犬は嫌いなんだってばぁ〜」


 マリエラは泣きながら犬が来なそうな高い場所まで魔法で飛んで逃げた。


「ほぉ、スゲー逃げ足」


 マリエラは泣きながらエリックをみた。


(はぁ、やっぱり今日も厄日だった)


 マリエラはそう思い溜息をつき涙を浮かべ遠くを見つめていた。

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