第17話
俺と沙希さんが悩まされ続けている正体不明の追跡者が信也にも見えたのだ!
やっぱり気のせいじゃ無く、誰かに監視されているとわかっただけでも証明された気がして俺は嬉しかった。
「信じてもらえないと思って今まで言えなかったんだけど・・・」
俺は人の気配を感じて誰かに観察されてる気がしてることを沙希さんのことは伏せて信也に話した
俺たち4人の中に女性が加わったことはこれまで一度も無いので何かが壊れてしまうような不安もあり、どうしても彼女のことは言えなかったのだ。
「何日か前に俺が違う世界を行ったり来たりしているんじゃないかとお前に言ったことがあるが憶えてるか?」
信也の話に俺は黙ったまま頷いた。
「あれはお前の気持ちを少しでも軽く出来ればいいと思って適当に言っただけなんだがこうして実際に遭遇してみるとお前の苦悩が良くわかるよ」
「俺たち2人のどちらをつけてたのかわからないが多分、お前を以前から監視していたんだろうな・・・」
「理由がわからずつけ回されるのは確かに気味が悪い!」
「あの時はいい加減なことを言ってしまって悪かったな」
信也はいつもそうなのだ
自分が悪いと思ったことはすぐに訂正し謝罪する。
「そんなことは気にしなくていいよ」
「あの時のお前の解釈は気が狂いそうなほど悩んでいた俺にとって救いになったし感謝してるんだ」
俺は彼と並んで歩きながらしんみりとした口調で言った。
「お前は多分、自分では気づいていないかも知れないが・・・」
「いや、何でもない・・・今のは気にしないで忘れてくれ」
何かを言いかけた信也は途中で話すのを辞めてしまった。
「何だ?」
「話すのを途中で辞めてしまったら余計に気になるだろ?」
そう言って話の続きを催促したが彼は黙ったまま迷ってるようで結局、話してはくれなかった。
一体、信也は何を言おうとしてたんだろう?
こんな風に途中で口を閉ざしてしまうようなことはこれまでに一度も無かった気がするが何か俺だけが気づいていない何かがあるというのだろうか?
その後の彼は言いかけたことを気にしている感じで話題を変えても曖昧な返事しか返って来なかった。
清志の実家の火事のことといい、信也の様子といい、謎は次第に積み重なりながら大きくなって行く!
猫が惨殺された件も俺が自分でやったことなのかどうかをハッキリ知りたいのだが記憶に残ってない為にどう調べれば真実に辿り着けるのかわからない?
最悪、俺が夢遊病者で無いことを祈るだけだった。
ファミリーレストランで食事を終えた俺と信也は社員寮へと帰ったが信也は何か心当たりでもあるような感じでどことなく警戒しながら歩いていたのが気になった・・・
部屋の鍵を開けて無事に帰り着いた2人は着替えを済ませ、冷蔵庫から飲み物を取り出すとそれを持ってそれぞれのベッドで横になる。
冷蔵庫にあった飲み物を飲んだ後に深い眠りに落ちたり意識が遠くなったりするのは睡眠薬みたいな何かが飲み物に混入されてる可能性は否めない!?
そう思って清志の実家を調べに行ったのだが火事によって焼け、跡形も無く消えてしまってた。
じゃあ一体、誰が何の為にこんなことをするんだ?
もしかしてコンビニであの夜、ぶつかった人・・・
信也に殴られて警察の厄介になったのだから逆恨みされても不思議では無いが、この部屋には俺たちが留守の間はいつも施錠してあるし鍵を持ってるのは俺と信也だけだ!
清志と淳二は親友ではあるがお互いの部屋の鍵まで共有しているわけではない。
信也はマンガ本を読みながら時々、笑いを漏らしている・・・
俺はそんな光景を見ながら色々と考えているうちに眠気を感じた瞬間、深い眠りへと落ちてしまった。
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