第14話
それにしても夏の日差しは暑い!
俺は沙希さんが持ってきた日傘を持ちながら彼女に日差しが当たらないよう差し掛けながら歩いていた。
相合傘が注目を集めるのか?
それとも彼女が可愛いから注目されるのか?
通り過ぎて行く人たちに何となく見られているような気がする・・・
目立つことは嫌いだが、彼女と一緒に歩けることは幸せだ。
しばらく歩くと見覚えのある場所に辿り着いた。
確かこの辺だったような・・・?
そう思いながら周囲を見回してみると空き地になってる場所で俺の視線は止まった!
彼女と2人、その場所に歩いて行き、周囲の建物などを記憶を思い起こしながら眺めた俺は
「空き地になってる!?」
独り言みたいに呟いて彼女の顔を見た。
「それは清志さんの実家の人たちが引っ越したってこと?」
彼女は俺の視線に応えるように言った
「俺が憶えている信也と清志の会話だと店は閉めるってことだったから引っ越したのかも知れないね?」
俺はそう言いながらも後始末を手伝うって言ってた割りにはもう建物さえ無いとは一体どういうことなのかという疑問に達した。
「後始末って家を解体することを指して言ってたのかなぁ?」
「何か教えてもらえるかも知れないからこの辺りに住んでそうな人にちょっと訊いてみようか?」
俺は彼女に同意を求めるような感じで言った。
「それだったら私が訊いてみます!」
「コンビニのバイトで接客とかしてるんで上手く聞き出しますよ」
「実際に話してるのはマニュアル通りなんですけどね」
照れたように笑いながら彼女は言うと
「でもそこに病院はまだ残ってて診療を続けてるみたい?」
「この病院が無くなるから処方箋薬局を辞めてしまうって話が根本から崩れちゃってますけど・・・」
病院の前にあるベンチに腰掛けてるお爺さんの方へと向かいながら彼女は俺に振り向いて言った。
どうやらあのお爺さんに訊いてみる気らしい
俺は彼女に任せることにして彼女の後をついて行った。
「ちょっとお尋ねしたいことがあるんですけどいいですか?」
唐突に話し掛けられて驚いたのか、それとも若い女性に話し掛けられるとは予想していなかったのかわからないが老人は彼女の顔を見ながらちょっと意外そうな顔をした後に
「良くわからんが何を聞きたいんじゃ?」
そう答えても尚、不思議そうな顔で俺たちを見た。
「あそこにある空き地に住んでた人たちはいつ頃、あそこから引っ越されたんですか?」
彼女はそんなお爺さんの態度など気にせず尋ねた。
「いつ頃だったか良く憶えとらんが、あそこは火事で焼けたよ」
「家に住んでた者は全員が焼け死んだんじゃが息子さんは他の場所に住んでたから助かったそうじゃ」
引っ越したんじゃなく火事で全員が焼け死んだ!?
予想もしなかったお爺さんの返答に言葉を失ってしまったかのように俺と彼女は思わず顔を見合わせた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます