26日目「結界と秘密のお話」


 「結界のことでしょう?」


 シエルが言うと、ルキアは少し驚いたように、


 「あら、どうしてわかったのかしら。何者なの、貴方。」


 シエルは済ました顔で、


 「......あっ、別にバレやすい結界とかでは全然ないから安心してもらっていいわよ。私、そういうのわかっちゃうタイプなだけで」


 そういうと少し呆気に取られたように、


 「つくづく不思議ね。人間ではない何かということはわかるけども。まあ深くは聞かないことにするわね」


 ルキアがそう言うと、みよがシエルに冷静に尋ねる。


 「それで、結界って何なの?」


 「結界というのはまあこの場合は認識阻害みたいなものね」


 みいとマリーがよくわからないという顔をしていると、


 「うーん、例えば道端に落ちてる石とかってあんまり気にならないでしょう?」


 「綺麗だったら気になってしまうかもしれないわね!」


 マリーがそう呟くと、


 「今話してるのはそういう道端に落ちてる石の中でも特に特徴のない普通の石のことね。森の中のこの館も近づかなければただの木々にしか見えないし、おまけに明確な目的がなければ無意識に近づきたくなくなる心理操作系も使ってるのかしら」


 シエルが2人にわかるように優しく説明すると、


 「何だかすごいわね!」


 「何となくわかったのです」


 と、2人もなんとなく状況が掴めたようだ。


 「えっと...これってひょっとしなくても凄い魔法だよね?」


 みよがそう呟くと、シエルは


 「私達がとんでもない魔導士さんのお宅にお邪魔しちゃったってことは確かね」


 マリー達は息を呑んだ。


 「あらあら、そんなに身構えなくてもいいのよ。まあでも、全部お見通しみたいね。それじゃあ初めから話すから今から話すことはここにいる子以外には絶対に秘密にしてくれる? まあもし話したら......いえ、何でもないわ」


 ルキアの笑顔が今は何だか怖い。みんなコクコクと頷いている。


 「私は、隣国を追われた魔道士よ。追われた国の名前はミラリア。リリを連れて、この国まで逃げてきたの」


 ミラリアという名前を聞いてみよ達の表情は変わる。


 「今、ミラリアって言った?」


 みよは慎重に尋ねる。


 「そうよ。現在他国との国交を断絶しているミラリア王国。私はその国の魔導士だったの」


 ルキアがそういうと、みよはみいと顔を見合わせる。


 「わ、私ミラリア出身なのです!」


 みよより先にみいの口が開いていた。そう言うとルキアが少し驚いて


 「それは本当? じゃあどうしてここにいるの?」


 「逃げてきたのです......お母さんが王宮にそれで......」


 みいの声が震え、表情が曇る。


 「もういいわ......何となく状況はわかったから。」


 マリーがみいを後ろから抱きしめる。


 「必ず会えるわ......貴方がそれを諦めないのなら」


 みいはコクコクと頷く。


 「まさか、ミラリア魔導士の子がこの国にいるなんて驚いたわね。それじゃあ私達がここに来るまでの話を少ししましょうか......」


 

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