14日目「私が盗賊になった理由」

「あれ......」


 みいは、玄関の前で目を開いた。


「やっぱり夢......?」


 そう思って家に入ろうとすると、ポストから手紙が顔を出していた。


「誰からだろう?」


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 親愛なるみい様へ


 今日私共がみい様にお手紙を送らせていただきましたのは、特別な事情があるのですが、それを今貴方にお伝えすることは許されていないのです。きっとみい様の助けになると思いますのでぜひお越しください。


 ミラリア王国 第二皇女 マリア


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「皇女様?! いたずら......じゃないよね。裏に王宮の印が刻印されてる......」



「まって!あなた第二皇女様の手紙をもらったの?!」


 じっと話を聞いていたマリーだったが驚きの表情を隠せないようだ。


「噂には聞いたことがあったけど、まさかほんとだったなんて......」


「マリー、うわさって?」


 みよは尋ねる。


「第二皇女の手紙......通称フォーチュンレターって呼ばれてるものなんだけど、受け取った人はなんでも願いが叶うって話だわ」


「それじゃあ、みいは何か叶えてもらったの??」


 みいの顔は曇った。


「......あの手紙はそんな幸せな手紙ではないの。話してなかったけど、私の母は優秀な魔道士だったのです。あの場に集められたのは皆そのような魔道士の娘や息子だったのです」


 みいは依然くらい表情で話を続ける。


「第二皇女は言ったのです......君たちのお母さん、お父さんはこれから国のために世界のために誇りをもって働くのでもう私達と合わせることはできないと」


「そんな......」


 みいはこの国について詳しくはないが、どんな事情にせよそれは明らかに非人道的だということは理解できた。


「その代わりに提示したのは私達の願いをなんでも一つ叶えるというもの、私より幼い子は話をよくしてなくてすぐに自分の欲しいものを願ったのです......でもそんなもので許せるはずはないです......」


「それはそうに決まってるわ! お母様と離れ離れになるのは辛いことだもの......たとえ生きていたとしても」


 マリーは、自分の過去を重ねる。


「だから、そんなものはいらないからお母さんを返してって言ったんだけど全然聞き入れてもらえなかった。だから私は城を抜け出して走って、走ってこの街まで来たの」


「そんなことが......」


 みよは思いもよらなかった話に戸惑う。


「そして、この街でこの盗賊団に出会った。この人達が路地裏で飢えて倒れていたの。だから、とりあえず持っていた一切れのパンと水をあげたのです。」


「元気を取り戻したみんなは、私の話を聞いてくれました。励ましてくれました。たったそれだけのことでしたが、私にとっては十分の救いだったのです。だから、いくあてもない私はこの稼業を手伝うことにしたのです。」


「ごめんなさい!」


 マリーは突然頭を下げた。


「え?」


「私、そんなことも知らないであなたのことを責めてしまったわ。本当にごめんなさい」


 みいはあたふたしている。


「あ、謝らないで! そもそも盗み自体が良くないことだって言うのはわかっているし......それに、このペンダント、大事なものだったんでしょう?」


 みいは、うつむくマリーの手を掴んだ。


「はじめはそんな大事なものだとは思わなくて......私、裕福そうな人達しか狙わないようにしてたから......ペンダントだってふつうは嗜好品でしょう? 私達はそう言うものしかねらわないようにしてたのです」


 みいは大きく息を吸い込んだ。


「本当に、ごめんなさい!」


 そう言うとマリーは笑顔を取り戻した。


「もういいわ! 最初はびっくりしたけれど......みよもいいわよね?」


「そう......だね、悪気はなかったみたいだし。でも盗みはもうしちゃだめだよ!」


「そうだわ! 貴方達、うちで雇われない?」


 盗賊団は、目を丸くしている。


「いいん、ですか?? 私達なんかを雇って。」


 「私が決めたんだもの。良いに決まってるじゃない!」


 みよはやれやれという顔でマリーを見つめる。


 それに、気づいたマリーはそっとウインクをした。


「最後にみい、あなたに言いたいことがあるわ!」


「え?」

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