第77話 今・他の隣人

意を決して、裏のお宅に夜中動く機械を使っていないか聞きに行った。

どうしても、こちらの方角から聞こえる気がする。

とはいえ、低周波音なので、外に出ると、どこからなのか分かるほど、よく聞こえないのだが。


ベルを鳴らしても出ない。

お留守だろうか。

帰ろうとしたら、浄化槽の周りで雑草取りをなさっているご主人に気がついた。



「つかぬことをお聞きしますが、最近、夜中動く機械をお使いではありませんか?」


「いいえ。最近はヒーターも使ってませんよ」


「そうですよね、ヒーター動く時期じゃないですよね。

それに、真夜中なんです。

2時間置きに30分くらい、音が大きくなって、やたら規則的なので、何か新しい機械がどこかで動いているのかなぁ、と。

周辺で、何か聞こえるとかお気づきの事はなかったですか?」


「NTTのビルってことはないですか?

距離あるけど、何か届くようなのが動いているとか」


「こちらはガスですよね?

前のお宅がエコキュート入れられて、あれも心配しているんですけれど・・・

すみませんでした、変なことお聞きして」


「いえいえ」




違った。

ガス使用だから、エコキュートではないだろうとは思っていたが、他の機械の心当たりもないらしい。


良かった。

振り出しに戻ってしまったけれど、こちらのお宅には春にも野焼きしないで欲しいとお願いしたので、ここじゃないといいなと思っていた。

連続でお願いって、気が重い。


しかしこちらのお宅は、他所からの移住者であるせいか、長年の地元の方より当たりが柔らかい気がする。


なんと言うか、地元の方は警戒心が強い感じがするのだ。

パタンと目の前で扉が閉まる感じがする。

あ、今閉まった。と感じたこともある。





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