20

ザンザスがバスルームに消えていった後。


リリィは。

冷蔵庫からペリエを取り出し、バスローブのままで、ザンザスのベッドに入った。

寝る前の薬を、その水で流し込みそのまま横たわった。


「本当に俺と寝るのか?」


風呂から出て来たザンザスが聞いた。


「うん!」


仕方ないな。

これ以上リリィに言っても、また泣かせるだけか。

ザンザスは、ベッドには入らずに、ソファに座ってまたブランデーのグラスを揺らしていた。

どうするんだ?

ザンザスの中で、未だ葛藤している思い…。

禁忌という名の愛を、今夜貫いてしまってもいいのか?


「お、にい、ちゃん」


リリィが甘えた声を出しながら、後ろから抱き付いてきた。


「何だ?まだ寝なかったのか?」


起きている事を知りながら、ザンザスは言った。


「おにいちゃんを待ってるの」

「そうか…」


俺の決断次第って事か。

ふっ…。

難しい問題だな。

リリィの為になるのなら、それでいい筈じゃねぇか?

俺にしてやれる事なら、例えそれが禁忌だとしても、何を畏れる事があるんだ?


「リリィ、ベッドに来い」

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