15

ザンザスが足早にリリィの待つ部屋へと向かった。


「おにいちゃん、お帰り」


待ちくたびれた様に、ザンザスに抱きつく。

その、小さな身体を、愛おしげに抱きしめ聞いた。


「ひとりで大丈夫だったか?」


リリィは、ふんわり微笑んで答えた。


「ひとりじゃないよ?」

「そうか」


その時。

扉が開いて雲雀が入って来た。


「雲雀恭弥、まだ判らないのか?」


ふっ。

不敵な笑みを浮かべて、雲雀は言った。


「あなたに妹がいるなんて、僕の資料には書いてなかったからね」

「おにいちゃん、誰?」

「ふぅん、君がザンザスの妹なのかい?」

「…リリィだ。リリィ、雲雀恭弥は雲の守護者だ」


雲の守護者…?

確か、おにいちゃんが、ボンゴレ最強と言ってた筈…。


「ふぅん、ザンザスの妹には見えないね」

「雲雀恭弥、リリィに妙な真似をしたら命はねぇ」

「くす、ヴァリアーのボスがシスコンとはね。僕には関係ないよ。じゃね」


元来た廊下を、ゆっくり歩いて雲雀は帰って行った。


「おにいちゃん…、あの人おにいちゃんより強いの?」


突然ザンザスが、声高く笑い出した。

そして。


「リリィ、俺は誰だ?」

「おにいちゃん」

「ああ、そうだな。それともうひとつ」

「ヴァリアーのボス?」

「そうだな。ボンゴレ最強暗殺部隊のボスだ」


ザンザスは誇らしげに答えた。


そう。

じゃあおにいちゃんが一番強いのね。

よかった。

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