10
──眼下に少しずつ見えてきた日本。
もうすぐおにいちゃんに会えるんだ。
「リリィ?元気がないんじゃないの?」
少しだけ心配げな、ルッスーリアの声。
「あ…、そ、そんな事ないよ」
それでも、リリィは、ザンザスの顔を、その手の温もりを、確かめるまでは不安だった。
爆音と共に、地上が近づく。
「リリィ」
懐かしいその声。
「おにい、ちゃん」
…この娘が、ザンザスの、妹?
金色の髪に、濃い緑色の瞳。
多分、誰しもが振り返って視線を集める事だろうか。
「沢田綱吉!何を突っ立っている?」
「あ…じ、じゃこっちに」
リリィは…。
ザンザスに会えた嬉しさを、隠そうともせず、甘えている。
それがまた、更にリリィの愛らしさを引き出していた。
ザンザスが溺愛しているのが、よく判る。
この美しいブロンドの姫君に、迂闊に告白なんかしたら、瞬殺される事だろうな。
「地下に女の子達専用の部屋がありますから」
「あたし、おにいちゃんと同じ部屋がいい」
「だ、そうだ。俺の部屋にリリィのベッドを運んでおけ」
はぁ?
兄妹で同じ部屋??
どうなってるの?
この兄妹?
いや!
余計な事は言わない方がいい。
ツナは、ザンザスに言われるままに、部屋を用意した。
…関わらない方がよさそうだな。
そう心に決めたツナだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます