8
深夜。
ふと、リリィは目覚めた。
隣にいる筈の、兄がいない。
「おにいちゃん…」
堪らなくて、ケータイを取り出した。
トゥルル~♪
何度目かのコールで、ようやくザンザスは電話を取った。
ディスプレイの名前を見て、動揺していた。
「「リリィ。どうした?」」
「おにいちゃん…、いつ帰れるの?」
涙混じりのその声に、ザンザスは、リリィを残して来た事を今更ながら後悔していた。
「「もう少しだけ、な。我慢しろ」」
「おにいちゃん…リリィも日本に行きたい、よ」
「「そうか…。ルッスーリアはいるのか?」」
「隣の部屋にいるよ?」
「「代われ」」
「うん」
「ルッス姐~おにいちゃんが電話代わってって」
「何よ~睡眠不足はお肌の大敵なのよ~」
「「ルッスーリア、明日リリィを連れて日本に来い」」
「へっ?ボスったら~リリィが恋しくなっちゃったのねん」
「「るせぇっ!リリィが泣いてる。それだけだ!」」
本当は、ザンザスもリリィが恋しかった。
でもそれは口が裂けても言えないザンザスであった。
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