「リリィ、お前だけは、この俺が絶対に守り抜いてやる」


リリィの肩口から覗いた傷を見たザンザスが、はっきりと言った。

その、痛々しく傷だらけの身体を、そっと抱いて。


「おにい、ちゃん」

「あぁ、酷い目に遭ったな。すまない」


リリィの瞳から涙が零れ落ちた。

幾度も死にかけた。

鞭で打たれ、食事もろくに与えられなかった。

挙げ句には、貞操すら奪われて。

まるで生きた玩具でしかなかった。


そんな地獄の日々に、終止符を打ってくれたのは。

暗殺部隊ウ"ァリァーのボスで、リリィの兄と名乗ったザンザスだった。


「リリィ、今夜は疲れているだろう?俺の寝室にお前のベッドは用意した。ゆっくり休め」

「あの…おにいちゃんは?」

「ひとりじゃ恐いのか?」

「ん、うん」

「じゃあ一緒に「ぅ"お"お"ぃ"~!帰ったぞぉ~!クソボスの妹が見つかったんだと~?」」


ヒュー!


ゴン!!


ザンザスが手近にあった置物をスクアーロに投げ付けた。


「るせぇ!カス鮫。リリィが恐がるだろうが」

「ってぇ"ぇ"~。何しやがる」

「テメェの出番はねぇ」

「このクソボスがぁ"ぁ"ぁ"~、ん?お前がボスの妹なのかぁ~?」


びっくりしたリリィは、ザンザスの後ろに隠れている。


「はい…」

「う"ぉ"ぉ"ぉ"い"。可愛いじゃねぇかぁ~?」

「黙れ。カス鮫!リリィ、寝るぞ」


ザンザスは煩く騒ぐスクアーロを後目に、リリィを連れて寝室に向かった。

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