ザンザスに妹がいると判った時、ヴァリアー部隊総出で探した。


ザンザスが見つけた時。

リリィはお金持ちの家で、メイドをしていた。


が、それは名ばかりで、まるで奴隷のようだった。

ろくに食事も与えられず、ザンザスが助けた時には、小さく痩せて、着ている服はぼろぼろだった。


ボロを纏ったリリィの姿を見た時、ザンザス自らの過去と重なった・・・。


「俺はザンザス。お前の兄だ。これからは俺がお前を守る」


ザンザスの、過去が蘇って来た。

自分も9代目に拾われるまでの生活は荒んでいたな。



ザンザスは、リリィを壊れ物ように大切に抱きしめ、ヴァリアー基地に戻っていった。



基地の中は、それこそ大混乱。

ボスが連れ戻して来る妹のために、浴槽の準備やら、お腹も減ってるだろうと簡単な夜食の準備まで万全だった。


ガチャっ、バーン!


「今帰ったぞ、クソミソカス共!」


怒鳴り散らすザンザスの背後からひょっこりと、顔を覗かせて、消え入りそうな声で言った。



「あの・・リリィです・・よろしくお願いします」

「んま~、なんて可愛いんでしょうね~。リリィ、お風呂の用意が出来てるわよ~」


ルッスーリアが声を掛けた。


「はい・・・・」


心細いままバスタブに身体を沈める。

リリィの身体には、鞭で打たれた時の、無数の傷が付いていた。


「痛っ」


傷口にお湯が染みる。

痛みを堪えて、身体の汚れを落としてゆく。

ルッスーリアが用意してくれた服に袖を通す。


「これ・・・・?普通の服かなぁ?」


どう見てもこれって下着じゃないかなぁ?

とにかくその服を着て、リリィはザンザスの元に戻った。


「おにい、ちゃん」


いつもの様にザンザスは、ソファに座って酒を飲んでいたのだが。

リリィの姿を見て口に含んでいたブランデーを、勢いよく吹き出した。


「ぶっ…。何だ?その服はぁ~?」

「え?でもこれが用意してあったから」

「おい!オカマ。テメェ何考えてやがる」

「あらん、可愛いじゃな~い?」

「へぇ~。ルッスーリアにしてはいい趣味なんじゃね?」


ベルが口を挟んで来た。


「か、可憐です」


レウ"ィはいつもの調子。


「ざけるな。此処には男しか居ねぇんだ。リリィのベッドは俺の寝室に用意しておけ」

「んま~、ボスったらまさか?」

「ふざけるな。俺の傍にリリィは置く」


ウ"ァリアー基地内で、ザンザスの言葉は絶対的だった。

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