2
ザンザスに妹がいると判った時、ヴァリアー部隊総出で探した。
ザンザスが見つけた時。
リリィはお金持ちの家で、メイドをしていた。
が、それは名ばかりで、まるで奴隷のようだった。
ろくに食事も与えられず、ザンザスが助けた時には、小さく痩せて、着ている服はぼろぼろだった。
ボロを纏ったリリィの姿を見た時、ザンザス自らの過去と重なった・・・。
「俺はザンザス。お前の兄だ。これからは俺がお前を守る」
ザンザスの、過去が蘇って来た。
自分も9代目に拾われるまでの生活は荒んでいたな。
ザンザスは、リリィを壊れ物ように大切に抱きしめ、ヴァリアー基地に戻っていった。
基地の中は、それこそ大混乱。
ボスが連れ戻して来る妹のために、浴槽の準備やら、お腹も減ってるだろうと簡単な夜食の準備まで万全だった。
ガチャっ、バーン!
「今帰ったぞ、クソミソカス共!」
怒鳴り散らすザンザスの背後からひょっこりと、顔を覗かせて、消え入りそうな声で言った。
「あの・・リリィです・・よろしくお願いします」
「んま~、なんて可愛いんでしょうね~。リリィ、お風呂の用意が出来てるわよ~」
ルッスーリアが声を掛けた。
「はい・・・・」
心細いままバスタブに身体を沈める。
リリィの身体には、鞭で打たれた時の、無数の傷が付いていた。
「痛っ」
傷口にお湯が染みる。
痛みを堪えて、身体の汚れを落としてゆく。
ルッスーリアが用意してくれた服に袖を通す。
「これ・・・・?普通の服かなぁ?」
どう見てもこれって下着じゃないかなぁ?
とにかくその服を着て、リリィはザンザスの元に戻った。
「おにい、ちゃん」
いつもの様にザンザスは、ソファに座って酒を飲んでいたのだが。
リリィの姿を見て口に含んでいたブランデーを、勢いよく吹き出した。
「ぶっ…。何だ?その服はぁ~?」
「え?でもこれが用意してあったから」
「おい!オカマ。テメェ何考えてやがる」
「あらん、可愛いじゃな~い?」
「へぇ~。ルッスーリアにしてはいい趣味なんじゃね?」
ベルが口を挟んで来た。
「か、可憐です」
レウ"ィはいつもの調子。
「ざけるな。此処には男しか居ねぇんだ。リリィのベッドは俺の寝室に用意しておけ」
「んま~、ボスったらまさか?」
「ふざけるな。俺の傍にリリィは置く」
ウ"ァリアー基地内で、ザンザスの言葉は絶対的だった。
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