第12話「レベリング」


 森の中一人目覚めるとそこには、ぷかぷか浮かぶワニがいた。


「いかにも異世界って感じだな。」


 辺りを見回すと見たことのない植物、そして動物達が周りを取り囲んでいた。


「おい、ワニ。ここはどこなんだ」


「そこは普通私の事について聞くのでは.....それとワニではありません!」


「まあいい、ワニだろうとなんだろうと関係ないからとにかく説明してくれ。」


 (.....なるほど、そういうわけか。お前たちアニマはこの世界におけるシステムというわけか。そして、ゲームのようなコマンドも使えるのか。)


「ステータスとかは開示できるか?」


「もちろんでございます。」


【職業】

 勇者

【年齢、性別】

 17 男

【ステータス】

 Lv.5

 攻撃力 121

 防御力 78

 素早さ 113

【特殊スキル】

 トランキライザー


「ちなみにこのステータスはどれほどのものなんだ?」


「そうですね.....数値化しますと、村人の平均が40前後、王都の兵士ですと、60〜70ほどなので、まあ普通に戦えば負け無しですね。」


「そうか。武器による攻撃力の強化はどれくらいだ?」


「武器によって各ステータスに倍率が振り分けられます。例えばその木の棒でしたら1.03倍ずつ全てのステータスが向上しますね。」


「お前は他の者に視認できるのか?」


「察しが良いですね。通常は見えませんよ。勇者様なんか出なければ、あとは王宮の魔力の高いほんの一握りの魔術師だけですね。大体は」


「そうか、じゃあまずレベル上げからだな。」


「モンスターを倒し、経験値を貯めればシステムによりレベルアップ(個体値強化)を行うことができます。ヒト族の上限が大体60くらいです。もっとも上限に達する人間なんてほとんどいませんが。関係ないでしょうが、経験値はヒトを殺しても入りますよ。」


「わかった」


 俺は、しばらくレベル上げをすることにした。少なくとも15くらいにはしておきたい。ただのしかばねのようになってからでは遅いからな



 アニマはまだ気付いていなかった。この男がいかに壊れているかを...


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る