第10話「異変」

 

 朝だ.....


【おはようございますミーファ様】


「おはようアニー.....」


 目を開けると、異世界! って実感が湧くわけでも無い。うちと同じ白い天井だもの.....


 私は階段を降りてリビングに向かった。

 

(あれ、なんかおかしいな。視界が揺らぐ)


 気がつけば囲まれていた。怪しい男たちに。


「お父さん! お母さん! 助けて」


 返事はない.....ふと見回したが、見えてはならないものが見えてしまった。


「おとうさ......ん? え?」


 死んでいた。死なせてしまった。左胸をナイフ刺されていた。気がつけば涙が流れていた。私はこの世界の人間じゃ無い。あの母親も父親も仮想の存在に過ぎない。そんなことはわかっていた。でも、あまりにリアルすぎるのだ。目の前で人が殺されていて平気なものなどいるはずもない。ミーファにとってはたった1人の父親だったのだから。


「そんな.....」


 この状況では母親も生きてはいないだろう。私も殺されるのだろうか。そっちの方がいいかもしれない。こんなの耐えられるわけないよ...


「まだ、2日目なんだよ.....?」


 男達はミーファが何を言っているのかわからないようだった。するとリーダーのような男が喋り出した。


「お前の両親は人殺しなんだよ! 娘のため! とかほざきながら俺たちの村にやってきて泣きながら村人を殺していった。お前の食糧を手に入れるためにな! さぞかしうまかっただろうな。昨日の飯は!」


 するともう一人の男が言った。


「悪いな嬢ちゃん、俺たちにも生活があるんだ。村人を殺されて黙ってるような連中はいねぇ、だから皆殺しにするしかねぇんだよ。」


 そして、鎌が振り落とされる。


 死んだ.....完全にそう思った時だった。


「ちょっと待てよ」


 扉の前には息を切らした青年が立っていた。

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