第2話 2020年1月31日(金)

彼は本来であれば学校に行かなくてはいけなかった。しかし、彼はこの日も一日中部屋で過ごしていた。徒歩3分で大学という便利な場所に住んでおきながら彼は怠惰を極め、「教授が面白くない」「興味がある科目がない」など様々な理由を考えることに時間を使っていた。そしてこの週はテスト期間であった。交換留学先の面目を保つためにも、単位を一つは取っておきたい。しかしながら、そこでも彼はたった一人によって協定がなくなることなんてないと言い訳していた。つくづくダメな男である。夜の8時を回わり、彼はベットにあぐらをかいてカーテンの隙間から隣人を覗いた。彼の日常の一つだ。今日も星明かりのように電球が部屋を照らしている。なぜか他の部屋がオレンジ色の光なのに対し、その部屋だけが黄色の光だった。無意識にだが彼が部屋に興味を持ったのも光の違いが原因かもしれない。もちろんカーテンで部屋がよく見えないが、彼にとってそんなことは問題ではなかった。脳細胞をフル回転させて、妄想を膨らませる。それと同時に彼の水玉の半ズボンも膨らみ始めていた。小さなテントができていた。彼は本能に従い、膨らんだ衝動的欲求を手を使うことで鎮圧させる。数ヶ月続けてきたことで彼は座りながら自家発電するコツを身についていた。ひと段落して冷静さを取り戻した彼は、机の横のベッドに寝転がって部屋の天井を眺めようとした。しかし、2段ベットの1段目から見えるのは、2段目を支えている木の板だった。彼は安堵する。ルームメイトがいたら毎日こんなことはできないのだ。ルームメイトが来るということは、彼に取っての生きがいを失うことを意味していた。

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