第三話 初登校

「おはよう、カレン。学校に行こうか」


そう言って僕は手を差し出す。


いつもは言い訳をしながら手を掴んでくるのに、今日は何も言わずにぎゅっと握ってきた。どうやら、とても不安なようだ。


「よし、行こう」


そう言って僕は彼女の手を引いて歩き出す。


「ユウマぁ。ほんとに大丈夫かな。私友達できなかったらどうしよう。自己紹介噛んじゃったら…先生怖かったらっ…」


「大丈夫だから、落ち着きなって」


僕は苦笑しながら続ける。


「いつもそうやって言いながらもなんとかなってたでしょ?それにもし友達ができなくても自己紹介で噛んじゃっても先生が怖くても、僕はついててあげるから、ね?だから安心して?」


まぁ、クラスが離れたらどうしようもないけどね。気づいてないみたいだし、言っちゃったらどうなるか分からないから言わないけど。


そうしてカレンを慰めているうちに、長い坂が見えてきた。


「さ、学校までもうすぐだよ!頑張ろ、カレン!」

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