THE SPARKS

雨米羊

プロローグ

もしも、どんな人にも「希望」と呼べる光があったとするなら。

僕にとってそれは《火花》だった。


……これは僕の「始まり」の物語だ。


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ー2052年12月3日ー


「お客さん、ここいらでよろしいんでしょうか?」


「ああ、ありがとう」


身長は180センチぐらいだろうか。癖毛の男はタクシードライバーに礼を言うと、着ていた丈の長い深緑のレザーコートを羽織り直す。タクシードライバーは彼が目をやっていた建物を見て「へぇ…」と感心したように小さく声を漏らした。


「お客さん、もしかしてお偉い方?今からなんかあるの?」


彼は少し苦笑して、タクシードライバーに「内緒です。」とだけ返して別れを告げた。


内ポケットに入っていたセブンスターから一本取り出し火をつける。日々のルーティンとしての一服だが、今日ほどこれにありがたいと思ったことはないだろう。昨日の今日だが、覚悟はできた。これからの覚悟はできた。


「…いい流れじゃねぇか」


目の前に堂々と聳え立つ総理大臣官邸を見て、福巳大司はニッと笑った。

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THE SPARKS 雨米羊 @umaihitsuji

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