問題編・第2話 事件概要

引き続き早緑弥生の部屋。四条、宗助、煙山、的場の4人がいる。


四条「(ブリッジやめる)……ふう。やはりまだ情報が足りないな」

煙山「さてと、まず何から説明するのがいいかな?」

的場「煙山さん!俺はまだ協力してもらうのを賛成したわけじゃ……」

煙山「なりふりかまってる場合か?事件を解決するのが刑事の仕事だろう。余計な縄張り意識は捨てろ」

的場「……でも、この事件は僕の初めての事件なんです」

煙山「いい加減にしろ!お前のそのプライドで、事件が解決するわけじゃない」

的場「……わかりました」

煙山「(四条と宗助に)すまん。何でも聞いてくれ」

四条「(考え事をしている)宗助君、適当に頼むよ」

と言った後、部屋の物色を始める四条。

宗助「じゃあ……、遺体発見時の様子からお願いします」

煙山「分かった。的場」

的場「……(メモを取り出す)」

宗助「(メモを取ろうとメモ取り出す)」

的場「被害者の名前は早緑弥生、22歳。私立大学に通う大学生です。遺体発見は2月28日の21時32分。遺体の第一発見者はすぐ近くの交番の警官です。

宗助「警官が第一発見者?通報は誰が?」

的場「被害者本人の携帯です。本人からの110番通報があり、警官が駆けつけたそうです」

宗助「詳しく聞かせてもらえますか?

的場「……記録では早緑さんからの通報は21時5分頃。実際にやりとりをしたオペレーターによると、電話相手は意識が朦朧としているようで、何かしゃべっているようでしたが、「助けて」という言葉以外ほとんど聞きとる事が出来なかったそうです。その様子からただ事ではないと感じたオペレーターは、電話番号からここの住所を特定したあと、所轄に連絡したそうです」


ここから現場の回想へ。

早緑登場してテーブルに突っ伏す。警官2名が登場。


的場「21時半ごろ警官が現場に着いたとき、玄関の鍵は開いていたそうです。部屋へ入ると、まず警官はテーブルに例の格好で突っ伏している早緑さんを見つけました。声をかけても、すでに反応はなかったそうです。馬のお面をかぶっていたために一見外傷が無いように見えましたが、お面をとると後頭部から血が流れていたのが分かったそうです。そこで脈を取って、既に死亡していることを確認しましたが、念のため救急と警察署に連絡を入れたたそうです。その後は応援が来るまで部屋の前で待機していたとのことです」

宗助「部屋に争った跡などは?」

的場「ありません。荒らされた様子も無く、金品にも手を付けられた跡もありません」

宗助「……分かりました。では他に何か気になる点等はありますか?」

的場「これは僕が警官に話を聞いて個人的に気になったことなんですが……関係あるかどうか」

煙山「刑事はそういうのが大事なんだよ。遠慮せずに話してみろ」

的場「はい、何故か入り口の近くに車の模型が置いてあったそうで……警官が部屋に入ったときにつまずきそうになったとのことでした。なんでこんなところに、と思ったそうです」

四条「車の模型……。これか。ふーむ」

袋に入った掌大の車の模型を持ち上げて観察する四条。タイヤが回ることなどを確認している。

的場「証拠品なんですから乱暴に扱わないでくださいよ!

宗助「何か分かりましたか先生?」

四条「気が早いな。まだ情報が足りないよ。ただ……」

煙山「何か気になることでもあるのか?」

四条「まあ今の段階じゃなんとも言えないな」

宗助「……死因は?後頭部の傷が致命傷なんですか?」

的場「ええ。凶器はこの遺体の近くにあったガラス製の灰皿で、死因は後頭部打撲による頭蓋内損傷です。馬の面の上から殴られているので血は付いていません。殴られてからしばらくは意識があったようで、通報したのはその時みたいです」

宗助「じゃあ21時5分頃までは被害者は生きていたわけですね?」

的場「そうなりますね。検視官によると死亡推定時刻は20時から22時の間

ということだったんですが」

宗助「つまり、証言を踏まえると犯人が逃亡したのは21時頃から、警官が現場に到着する21時30分頃までですか。大分絞られますね。その時間帯の目撃証言はないんでしょうか?」

的場「残念ながらこのマンションとその周辺の聞き込みでは、目撃証言はありません」

宗助「防犯カメラの映像はどうでしょう?」

的場「ご存知とは思いますが、このマンションは4階建てなんですがエレベーターが設置されていないんです。エントランスにもカメラの類は設置されていませんでした」

宗助「なるほど。では、凶器や部屋に残った指紋についてなんですが……」

煙山「その辺りの話は鑑識の人間に直接聞いたほうがいいだろう。竹下~!」

竹下「(登場)なんだ?」

四条「どうも、ご無沙汰しています」

竹下「四条さんに宗助君か。どうぞ、何でも聞いてくれ」

宗助「凶器や部屋から犯人特定につながりそうなものは見つかりましたか?」

竹下「今挙がってる容疑者のうち3人の指紋はあちこちから見つかってる」

宗助「3人?4人ではなく?」

的場「そのあたりは容疑者についてお話しする時にまとめてご説明しますよ」

宗助「なるほど。分かりました」

竹下「凶器の灰皿なんだが、もともとこの部屋にあったものみたいだ。

被害者の指紋しかついていなかった」

宗助「えっ被害者のだけですか!?」

竹下「そうだよ。まあ犯人は手袋でもしてたんじゃないかな」

宗助「部屋のドアノブはどうですか?」

竹下「ドアノブには被害者と容疑者、それに警官のものしか指紋はなかった。ちなみに容疑者の指紋がついていたのは内側のノブだけだった。被害者が全員招き入れたようでね。まあ身元不明の指紋は無かったから、4人の他に容疑者がいるとは考えづらいな」

煙山「ここは4階だし、ベランダから逃げたとも思えないからな」

竹下「うん。それに窓は施錠されたままで、指紋も被害者のものだけだった」

宗助「ドアチャイムはどうでしょう?」

竹下「いくつか指紋は検出されたんだが、どうやら連打した奴がいるみたいでな。

まともに指紋が判別できたのはその連打した奴1人だけだ」

宗助「……なるほど、その一人っていうのも?」

的場「後ほどまとめて」

宗助「分かりました。ほかに竹下さんが気になったことはありますか?」

竹下「他に?うーん、なにかあったかなあ」

的場「あの車の模型の件はどうです?」

竹下「ああ、そうだ。そこにある車のおもちゃ」

宗助「ミニクーパーの模型ですね」

竹下「うん。それから被害者の足の指紋が検出されたんだ」

宗助「どういうことですか?」

竹下「被害者が踏んづけたんじゃねーかな。イライラしてたのかもな」

宗助「イライラしておもちゃ踏みつけるって、想像すると怖いですね」

的場「うーん、そんなことするとは思えないけどなあ……」

四条「(突然思いついたように)その車から検出されたのはその足の指紋だけですか?」

竹下「そうだよ」

四条「……」

煙山「なにか気になるのか?また四条大橋か?

四条「いや、考え込むのはもう少し情報が揃ってからにするよ。次は容疑者についての情報が欲しいな」

竹下「そうかい。じゃあ俺はもう少し作業が残っているから続けるよ。何かあったら呼んでくれ」

煙山「ありがとう」

竹下が部屋を出ていく。

煙山「さてと、じゃあ的場、頼む」

的場「(ため息ついて、メモ帳を開く)被害者の携帯電話をしらべて浮かび上がった容疑者は多胡雄一、麻木圭、戸川耕太、森田英仁の全部で4人です。この4人が容疑者として上がっている理由は4つ。①、金品を取られた跡がないことから、怨恨の可能性が高い。②、現場から見つかった指紋が被害者と警官のもの以外はこの4人のみである。③、死亡推定時刻に4人ともアリバイがない。そして④、事件当日、この4人が被害者の部屋を訪ねている」

四条「なるほど。それはまた……」

宗助「なかなかエグイですね」

四条「とりあえず容疑者のプロフィールと当日の様子を時系列順に聞くのが一番よさそうだね」

煙山「そうだな。俺も詳しい事情聴取の報告はまだ聞いていないんだ。気になる点があれば質問するよ」

的場「分かりました。じゃあまずは事件当日、被害者と最初に接触した多胡から」

多胡が登場。

的場「多胡雄一、22歳。(写真を見せる)被害者の大学の同級生です。交際期間は1年ほどだそうです」

煙山たち「(多胡の印象を一言)」

的場「被害者とは大学で同じゼミになったことがキッカケで知り合ったらしいです。多胡がこの部屋を訪れたのは昼の12時頃……」

ここから再現回想へ。

早緑登場、多胡一旦ハケ。

ドアチャイムの音。

早緑「はーい」

多胡「おっす。(後ろ手にプレゼント持ってる)」

早緑「いらっしゃい。どうぞ、上がって」

多胡「うん。……弥生」

早緑「ん?」

多胡「誕生日おめでとう」

早緑「わーありがとう!開けていい?」

包装紙を開ける弥生。

的場「この時プレゼントしたのが、さっき話題に上がってた車の模型です。四条さん、聞いてます?」

四条「(舞台をウロウロしてものを触りながら)ん?聞いてるよ」

宗助「先生はいつもこうなんです。気にしないで続けてください」

的場「……分かりました。続けます」

再現を再開。

早緑「(車取り出して)わーかわいい!」

多胡「こないだ雑貨の店でずっと見てただろ?」

早緑「え?気づいてたの!?」

多胡「当たり前じゃん!実はさ、今その車の本物を買うために貯金してんだ」

早緑「えー!すごい!」

多胡「だからさ、買ったら一緒にドライブ行こうぜ!」

早緑「うん!」


的場「……その後、2人でケーキなどを食べて、2時間ほど過ごし、早緑さんが出かけなければならないということで、多胡は14時頃部屋を後にしたそうです。早緑さんと会ったのはこれが最後だと証言しています」

的場がしゃべっている間に多胡を送り出す早緑。

送り出した後、早緑もハケる。

宗助「その後、実際に早緑さんは出かけたんですか?」

的場「いや、15時に次の容疑者である麻木が部屋を訪れているので、多胡を帰すための口実だと思います」

煙山「やりよるなあ」

宗助「やりよりますね」

的場「……では次の容疑者、麻木について」


麻木登場。


的場「麻木圭、32歳。(写真を見せる)早緑さんのアルバイト先であるコーヒーショップの店長です。交際期間はまだ2ヶ月ほどだそうです」

煙山たち「(麻木の印象を一言)」

的場「さっきも言いましたが、麻木がこの部屋を訪れたのは15時頃……」


再現回想へ。

麻木一旦ハケて早緑登場。

ドアチャイムの音。


早緑「はーい」

麻木「やあ。(紙袋持ってる)」

早緑「いらっしゃい、上がってー」

麻木「おじゃましまーす」

早緑「どうぞどうぞ。座ってください」

麻木「うん、ありがとう。早緑さん……」

早緑「何?」

麻木「はい、これ。プレゼント」

早緑「嬉しい!開けていい?」

麻木「もちろん。でも、ほんとにそんなんでいいの?」

早緑「(馬の面取り出して)これこれ!これが欲しかったの!」

麻木「早緑さんは変わってるな~」

早緑「~そうかな?」

麻木「被ってみたら?」

早緑「えーやだ!」

麻木「じゃあなんで欲しがったんだよ!」

麻木・早緑「(笑いあう)」


的場「……その後、二人でケーキなどを食べて、1時間ほど過ごしたそうです」

煙山「ケーキ2つ目?」

的場「はい」

宗助「滞在時間は1時間ですか?2時間じゃなくて?」

的場「1時間です」

宗助「この時間の差、ひょっとして……順位ですかね?4人の中の」

煙山「だとしたらこいつ……やりよるなあ」

宗助「やりよりますね」

的場「早緑さんが出かけなければならないということで、麻木は16時頃に部屋を出ています」

煙山「口実も同じとは……」

宗助「怖!」

的場「麻木も早緑さんを見たのはこれが最後だと証言しています」


早緑、麻木を送り出してハケる。


的場「それでは3人目の容疑者、戸川について続けます」


戸川登場。


的場「戸川耕太、26歳。都内の企業に務めるサラリーマンです。(写真を見せる)交際期間は半年ほどだそうです」

煙山たち「(戸川の印象を一言)」

的場「知り合ったキッカケは共通の知り合いとの飲み会。戸川が得意のベジータのモノマネをしたのがウケたそうで。まあ平たく言えば合コンのノリですね」

煙山「やりよるなあ」

宗助「それ早くないですか!?」

的場「戸川が部屋を訪れたのは17時頃です……」


再現回想へ。

戸川一旦ハケて早緑登場

ドアチャイムの音。


早緑「はーい」

戸川「こんにちは。(紙袋持ってる)」

早緑「いらっしゃい!どうぞどうぞ」

戸川「弥生ちゃんの部屋に来るの久しぶりだなあ」

早緑「そうだっけ?」

戸川「そうだよ。1回付き合い始めの頃に来たっきりだよ」

早緑「そっかそっか。まあまあまあ座ってよ」

戸川「うん。あ、これプレゼントね。誕生日おめでとう」

早緑「ありがとう!開けていいかな?」

戸川「うん」

早緑「(開ける)でたー!メイド服!」

戸川「欲しがってたからさ」

早緑「ありがとう!まさにこれ欲しかったんだ!」

戸川「じゃあ早速着てみない?」

早緑「えーやだ!絶対やだ!」

戸川「欲しいんじゃなかったのかよ!……くっそおーーー(ベジータのまね)……まあいいや。ごめん、煙草いいかな?」

早緑「うん。……私も一本もらえる?」

戸川「いいよ(煙草取り出して吸う)」


的場「……で、その後なんですが」

煙山「ケーキを食べたんだろ?」

的場「ええ」

宗助「3つ目ですね」

煙山「糖尿病怖くないのかな」

的場「続けますよ。その後、戸川は1時間半ほど部屋で過ごしたそうです」

宗助「今度は伸びた!現時点での最下位は店長ですね」

煙山「続き言ってやろうか。早緑が出かけなければならないということで、戸川は18時半頃部屋を後にした、だろ?」

的場「その通りです」

宗助「もうここまでくるとルーチンワークですよね」

煙山「流れ作業感あるよな」

的場「ちなみに戸川も早緑さんを見たのはそれが最後だと証言しています」


などと喋ってる間に早緑、戸川を送り出してハケる。


的場「最後の容疑者、4人目は森田という男です。現時点でもっともクロに近い人物なんですが……」


森田登場。


的場「森田英仁、30歳。無職です。(写真を見せる)」

ロン毛で明らかに怪しい風体。


煙山「無職でこの感じか…!」

宗助「むしろこれは逆に犯人じゃないタイプ!」

的場「早緑さんのバイト先のコーヒーショップの常連だったみたいですね。あくまでも本人の弁なんですが、交際期間は3年とのことです」

宗助「あくまでも、というのは?」

的場「どうやら一方的に早緑さんに思いを寄せていた時期も交際期間に数えてるようでして……実際に早緑さんとしゃべったのはつい先週が初めてらしいです。……まあ、いわゆるストーカーってやつですかね」

煙山「無職でストーカーでこのルックスか……」

宗助「数え役満ですね」

的場「部屋に招かれたのも今回が初めてらしいんですが、この招かれたという表現も……ちょっと現状判断できなくてですね」

宗助「というと?」

的場「早緑さんと実際には会っていないそうなんですよ。部屋の前には21時頃来た、と言ってるんですが」

宗助「21時頃!それって早緑さんが警察に通報した時間とほぼ同じじゃないですか!?」

的場「そうなんですよ。一応本人の証言では……」


再現回想へ。

森田一旦ハケ。

ドアチャイムの音。

少し間をおいて、再びドアチャイム。


森田「すいません、森田です」


ドアチャイムの音。


森田「森田です。お呼びにあずかりました森田です。誕生日おめでとうございます」


ドアチャイムの音。


森田「サミー!お馴染みの森田ですけども。森田でお馴染みの」


ドアチャイム連打。


森田「森田が来ましたよ!」


ドアを叩く音(ドンドン!)×たくさん。


森田「森田ですよ!あの、あの森田でお馴染みの森田ですよ!」


的場「……で、いくら呼びかけても返事がないので、諦めて帰ったというのが本人の証言なんですが。一応ドアを叩く音と、森田ですよ~ってのを隣の住人が聞いてまして、21時頃部屋を訪れたのは確かなようです」

宗助「そもそもこの人は早緑さんと約束してたんですか?」

的場「……まあ、本人はそう言ってます」

宗助「うそくせー!さっきはああ言いましたけど、この人が犯人じゃないんですか?ていうかもう犯人でよくないですか?」

煙山「それがそう単純じゃないんだよ。さっき竹下が部屋の中で見つかった指紋は、

容疑者のうち3人って言ってたろ」

宗助「じゃあ部屋の中から指紋が出ていない容疑者っていうのが……」

煙山「そう。この森田なんだよ。ドアの外側からは指紋出てるんだけどな。あとドアチャイムから唯一指紋が判別できたのもこいつだけ。仮にこいつが犯人だとしても、中の指紋を処理して外の指紋を処理しない理由が分からないだろう」

宗助「なるほど……一筋縄じゃいかないですね」

的場「容疑者たちの当日の動きについては以上です」

宗助「……ありがとうございます。よく分かりました。戸川さんが帰ったのが18時半で、的場さんが死体を発見したのが21時半。これが3時間の空白ですね。あとは……そうですね、容疑者たちが早緑さんを殺害する動機については?」

的場「……少なくとも現状ではこれという動機は出てきていません。早緑さんの同時進行の複数交際についても、容疑者たちは誰も気づいていなかったようです」

宗助「えっ!?本当ですか?」

的場「ええ。あのリアクションは本物だと思います。まず間違いありません」

煙山「これについては俺も保証する。ほんと、やりおるよなあ」

宗助「うーん、となると、これ以上容疑者を絞り込む要素が見つからないですね」

煙山「容疑者全員が犯行可能だからな。決定的な証拠が無いだけで」

的場「……今みなさんに説明してて改めて思ったんですが、仮に容疑者の誰かに動機があったとして、早緑さんを殺害するにしても、もっと他にいくらでも実行するのに適した時はあったと思うんですよね。昨日殺害するていうのは、あまりにも綱渡りすぎると思いませんか?」

煙山「……確かに、森田以外が犯人だとしたら死亡推定時刻からいって森田か警官に目撃される可能性が高かっただろう。逆に森田が犯人だとしても、後処理をしている間に警官と鉢合わせになる可能性はあったな」

的場「そうなんです!僕もそれをずっと考えてて」

煙山「だが実際に人が一人死んでるんだ。可能性の話をしていてもしょうがないだろう。結果的に犯人はとんでもない綱渡りをやりきったのかもしれないし、それに、まだ空白の時間の問題もあるしな。その辺りに何かトリックがあるのかもしれん」

的場「……そうでしょうか」

煙山「四条はどう思う?ってびっくりした!」

ブリッジしてる四条。

四条「……まだ、少し情報が足りないな。橋が架かってない島がいくつかある」

煙山「そうか。……これからどうする?容疑者達に話を聞くか?」

宗助「えっ?そんなことできるんですか?(時計見て)今、朝の3時半ですよ」

煙山「ああ、事情聴取はさっきまでここのマンションの管理人室でやったんだが、どうせ四条が来たら直接話を聞くだろうと思って、そのまま待機してもらってるんだ」

四条「だてに大学時代から友達やってやってないな。助かるよ」

煙山「だろ?じゃあ一人ずつ呼んでこよう。誰から話を聞く?」

四条「いや、一人ずつじゃなくていい。全員呼んでくれないか」

煙山「全員!?」

宗助「先生、いいんですか?容疑者たちも他の人がいると話しづらいこともあるんじゃ……」

四条「その点なら問題ない。聞きたいことはもう決まっているし、それは話しづらいことじゃないから」

煙山「お前がそういうならそうなんだろうが……。まあいい。的場、容疑者たちを呼んできてくれ」

的場「分かりました」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る