第11話 想いと決めること

かつての素晴らしい美しさを微塵も残していない…。

干涸びて、飢え、いまや、死をまつばかりだ。



君の心臓を返せば。

君は、地の果てまでも駆けることができる。


君が行きたい場所は、君がゆっくり駆けていっても

ほんの数分でついてしまう。

さぁ、好きなだけ駆けきてごらん。



天之馬は、心臓を受け取ると、地之犬の心臓と交換した。

地之犬の心臓の暖かさが、心から抜け出ていった。


私は、あなたの心臓で、今来た道を見てきた。

僕は、君の心臓で、今来た路を感じてきた。

だから、ぼくたちは、二度とこの場所に戻れない…。

二人とも、別れたら、二度と合うことができない。


僕は、君の首輪になる。

僕が、いつも嫌っていた、

みすぼらしい首輪だ。



そのことを知っている天之馬は、

地之犬を背に乗せようとした。

しかし、地之犬は、頑なにそれを拒んだ。


僕は、ここでそのときが来るのを待ってる。

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