第5話 方法論各論
「はい。話を再開します。ええっと。マスメディア時代のアイドルの話は、だいたい説明したと思うので、次はソーシャルメディア時代のアイドルの話です。えっと。その前に、桜子、この間、君が梅子からもらったカバンの話」
「サクラちゃん。梅子さんって?」
「ウチのお姉ちゃん。今、多賀城に住んでる。お母さんと同じで、助産師さん、してるの。この間、帰省したとき、飽きたからって、シャネルのバック、もらったんだけど……」
「そのカバンの楽しみ方を、三通り述べよ」
「何それ?」
「庭野先生。それ、アフリカのなぞなぞみたいなモノですか。ほら、キリンを冷蔵庫に入れる三つの条件、みたいな頓智」
「それを言うなら、ゾウを冷蔵庫に入れる場合、じゃなかったかな? 話が進まないので、自分で答えを言います。一つ目、カバンの外見を楽しむ」
「外見?」
「カバンのデザインがおしゃれだとか、革の色合いが素敵、とか、がま口の18金バックルが輝いてる、とか、色々あるだろ」
「ねえタクちゃん。ウチのバッグには、がま口なんて、ついてないよ」
「お。そうだったか。失敬」
「てか、カバンとか。ジジくさい言い方しないでよ」
「了解。めげずに続けます。二つ目。中身を、実質を楽しむ。このバッグ、中に仕切りがいっぱいついていて、モノが収納しやすい、とか、取っ手の長さがちょうどよくて、大量に入れてもかさばらないとか。そして三つ目。存在そのものを楽しむ」
「存在? 何それ?」
「具体的に言うと、みんなに自慢して回るっていうこと。ブランドモノの高いバッグよ、いーでしょーって、自慢してまわる」
「私いやだなあ。そんなイヤミったらしいの」
「まあまあ。説明のためだから。次に、このシャネルのバッグを、丹野くんに置き換えます。もちろん、持ち主は古川さんです。その一、外見を楽しむ。彼は背も高いし、昔風だけどイケメン、そしてスポーツで鍛え上げた引き締まった筋肉マンです。かっこいーい。次にその二、実質を楽しむ。彼は通学電車の中で痴漢から自分を助けてくれたヒーローで、友人たちにも別れ話の相談をされるくらい、頼りがいがある男である。そして三つ目。存在。彼を彼氏として、自慢する」
「タクちゃん。それって……」
「そう。今まで延々と話してきた、アイドル話と、同じ構造なんだよね。マスメディア時代のアイドル、イコール、外見のよさ。それ以前のアイドル、内面のよさ。では最後に、丹野くんと古川さんを入れ替えます。つまり、古川さんが、丹野君に所持される場合。外面。ゲームのやり過ぎで目の下にクマがくっきり、ちと陰気な顔。内面。四六時中ホモのことを考えている重度の腐女子。オブラートにつつまない古川さんは、マスメディア的アイドル的見地からでも、それ以前のアイドル的見地からでも、魅力的じゃない」
「こんな、長々ともったいぶらなくても、最初から分かってることじゃないの。アユミちゃん。陰気で腐ってても、私たちの友情は不滅だからね」
「いやいやいや。サクラちゃん、全然フォローになってないから、それ。てか、庭野先生。言いたいのは、その、第三の場合、なんですよね。存在。自慢」
「うむ。桜子が盛大に話の腰を折ってしまったから、仕切り直して、もう一度いいます。従来の意味で、恋人候補アッピールでうまくいかなくても、第三の方法がある。アイドル論で言えば、それはソーシャルメディア時代のアイドルの在り方、に近似している。つまり、これを分析して方法論とすれば、勝機は見える。それが、今から伝授する、語られアプローチなのです」
「語られ、アプローチ?」
「誰かが……丹野くんや、それ以外の誰かが、君のことを話題にする。語る。語りたくなるくらい、個性的な、そのキャラをさらにブラッシュアップして、語られ上手になる。ブランドモノのカバンみたいに、必ずしも自慢される必要はない。キャラが立って、噂される存在になれば、いいんだ」
「でも……」
「古川さんと丹野くんの接点は、毎日の通学時間の十五分だけなんだろう? そういう短時間の接触しかなくとも、有効な方法論なんだよ、これは」
私の高校時代には、ランドセルをしょって通学してきた同級生や、女装の同級生がいた。本人のことを知らないひとでも、どこかで誰かが噂してくれる、有名人、要するに「語られ上手」だった。
「注意事項が、ひとつある。てか、この注意事項のために、わざわざアイドル論メディア論をぶってきたんだが。……語られ上手は個性的だけれど、個性的イコール語られ上手じゃない」
「タクちゃん。どーゆーこと」
ソーシャルメディア以前、過渡期前に出てきたアイドルの例、この場合の嚆矢を挙げる。
ズバリ、中川翔子さんだ。
「もちろん、ご本人の売り出し方、それ自体分析に値するものだとは思う。けど、それより興味深いのは、二番煎じになろうとして失敗した、後追いアイドル娘たちの、在り方です」
ディープなオタクにして、美女アイドル。
ユニークな存在として売れ始めた中川翔子さんを見て、雨後のタケノコみたいに、とまでは言わないけれど、ぽつぽつと「オタク」を売りにしたアイドルが、メディアに登場し始めた。
「彼女たち二番手グループは、みんな、何らかの形で、本当にオタク趣味を極めた女の子が多かったのです。単にかわいいだけの女の子に、一夜漬けでオタクを名乗らせても、すぐに化けの皮がはがれるだろう、という、マネージャーさんたちの先読み、心配のためでしょう。でも、オタクであることを最優先にした結果、中川翔子さんほどのかわいい女の子はいなかったな。そして、悲しいかな、そのオタクであることだけを売りにした、二番煎じアイドル諸君は、アイドルとして生き残ることができませんでした。要するに、オタクであっても、語られ上手じゃなかった。もっと言うと、思春期入口男子の、ウケてる余裕のない恋愛シーンから、彼らが何を欲しているか、くみ取れなかった」
「うーん。庭野先生。抽象的過ぎて、少し分かりづらいんですけど」
「古川さんは、腐女子であるとともに、広く薄くのゲーマーだから、ゲーマーオタク女子アイドルの場合を例にしましょう。たとえば、格闘ゲームを極めて、特殊なコンポ技を何連続もキメられる、超上級ゲーマーアイドル、がいたとします。彼女は、同じ格闘ゲーム愛好者の間では、確かに話題になるでしょう。いわば、玄人受け、するとでもいうような。でも、その格闘ゲームをやっていないひとは、話題についていけない。また、そのコンポ連続がどれくらいスゴイのかも、分からない。結果、重度のオタクであるにもかかわらず、彼女のことを本当の意味で語るひとは、超少数派、ということになります。要するに、語られ下手です。では、次に、この超上級ゲーオタ女子アイドルよりも、腕は格段に落ちるゲーマーのことを考えます。この下手の横好きゲーマー女子も、その格闘ゲームが好きで、ゲームに興じるときには、キャラクターのコスプレをしながら、ゲームをする、とします。また、対戦相手に勝利したときは、ゲームキャラクター同様の、勝利ポーズをしたり、勝利ダンスを踊ったりする、としましょう。いまでこそ、コスプレする女子って珍しくなくなりましたけど、その当時はゲーマーかつコスプレイヤーなんて、ほとんど見かけませんでした。当該のシナリオ格闘ゲームに詳しくないひとでも、コスプレでチャイナドレスを着たりセーラー服を着たりしてゲームをする女の子がいれば、話題にすることができます。しかも、男の子が女の子に興味を持つ、という形で。彼女は、いい意味でキャラが立つ、と言えます。ちょっと毛色の変わったアイドルがいるよ、という形で、語られていくことができる、というわけです」
「コスプレゲーマーかあ……タクちゃんの若い頃って、いったい何年前の話をしてるのよ。せっかくの例だけど、昭和の常識じゃ、アユミちゃんの参考には、ならないんじゃない?」
「参考になるもなにも、マネしちゃ、ダメなんだよ。語られ上手になるためには、いくつか必要条件があって、目新しさを常に追及していく、というのもその一つ。インパクトがあること、サムシングニュー、他に抜きん出た何か。そしてまた、一発屋だけで終わらないようにするためには、この目新しさを次々に繰り出す必要がある。……再び、中川翔子さんの例です。彼女、一時期、ブログをどれくらい更新できるか、というのを他のタレントさんと競争したことがあります。確か、最初彼女の更新の速さが話題になり、それに対抗する形で、他のタレントさんが挑戦したんだったかな。でも、二番手には、しょせん二番手のインパクトしかない。どれだけ更新速度を上げても、更新する記事に凝っても、三番手四番手と、同じような有象無象が出てくれば、埋没してしまうんです。いつでも、生き残るのは、つまり語られ続けるのは、オリジナルの仕掛け人、なのです」
「庭野先生。二番煎じのオタクアイドルたちは、結局生き残れなかったって言いましたけど、今現在、それっぽいアイドルの人たちって、結構いますよね。AKB48とか、声優さんたとか、そういう系統では?」
「ソーシャルメディアが、メディアの主役になりつつありますからね。試行錯誤の結果、この、語られの構造そのものを理解できなくとも、いわばアイドルの本能で、体得してきた人たちもいるってことでしょう。今、古川さんが挙げたアイドルさんたち、AKB48や声優さんたちが、従来のマスメディア純正のアイドルとしては、通用しそうもない、というのも興味深い。AKB48のみなさんは、学校一の美少女というよりは、クラスで三番目四番目くらいの、手の届きそうな女の子っていうコンセプト、と聞いたことがあります。また、声優さんたちのほうは、従来アイドルとして活躍できる年齢を超えた、息の長い活動ができている人が多い。マスメディア時代のアイドルとしては活躍できそうもないから、一発奮起したのか。それとも、マスメディアでもてはやされるような美形タイプは、ソーシャルメディアとは相性が悪いのか。真相は分からないけれど、語られアプローチを考える上では、大変勉強になるアイドルのひとたちだろう、と思います」
「そうだ。それで思い出した。タクちゃん、ノーパンミニスカと全然関係のない話、してるじゃない」
「桜子。もう一息だから、黙って聞いててくれ。えーと、カバン、もとい、ハンドバッグのところまで、話を戻します。外見や、使い勝手という実質抜きで、女の子がハンドバッグを欲しくなるシーンを、考えていきましょう。語られバージョン、その一。第三者による、一般的な語られ。コマーシャルや口コミで、誰かがそのカバンのことを話題にするから、欲しくなる。これは、一番分かりやすい例だと思います。次に、語られバージョンその二。そのカバンを手に入れられそうになっている、ライバルによる語られ。最後に話を整理するとき分かりやすいように、これを第二者による語られ、と名付けておきます。恋愛映画や恋愛マンガのシナリオで言えば、当て馬とか、そういう立場のひとによる語られ、と言えるかもしれません。たとえば、せっかくのカバンだけど、アイツがゲットしそうになってるよ、という噂がたつ。また、そのライバルから、オレはアイツをモノにしたぜ、というセリフが出てくるシーンを、思い浮かべてください。丹野君が熱血漢なら、絶対奪い返して自分のモノにしてやる、という闘志で燃えるでしょう。最後に、第一者による語られ。これは、モノを手にいれた本人による語られです。古川さんの例で言えば、丹野君自身に語ってもらう、ということです。語られアプローチのシナリオでは最終段階で、ほとんどつきあう寸前、または実際につきあってから出てくる語られ、といえるでしょう。一般的な言い方では、ノロケ、と言ったりしますね」
「だから、タクちゃん、ノーパンミニスカ」
「……そもそもチアガールの衣装は、古川さんを、ウチの塾の、短気なお母さん対策講座の講師兼研究生として、迎え入れようと思ってだよ。仙台育英や東北高校みたいな甲子園常連校になら、応援団にチアリーダーのチームがあるんだろうけど、石巻界隈の高校には、そういうのもないからね。話題になる。今言った第三者的な意味で語られる。講座の宣伝という名目で動画を撮って、塾のホームページに掲載するんだよ。もちろん、桜子にも、噂を流してもらう。あの子は実はウチの高校で、どーのこーのというのが学校でも流れていけば、丹野君も自然、彼女を意識していくんじゃないかな。それにもう一つ。ウチの講座でチアリーディングをしているのは、中高生のお母さんたち、年齢30代から50代のオバサンたちだ。16才のピチピチギャルの古川さんは、普通に交じっているだけでかわいく見えるっていう効果もある」
「ピチピチギャル。死語よね」
「私自身がノーパンミニスカ・チアリーダーの服で踊ろうというのは、この第三者的な語られを、手助けしようと思ってだよ。古川さんが語られるための、いわば呼び水になろうとして。考えてごらん。いい年したオッサンが、商売のためとは言え女装して踊るっていうのは、話題性バツグンだろ。私の道化姿を見ようとホームページにアクセスしたひとが、はからずも一緒にダンスしている女子高生も見つけるっていう寸法さ。さらに、第二者的な語られの意味もある。塾生でない丹野くんと私が直接話す機会はありそうもないけど、たとえば、私が古川君にセクハラしたり、彼女がイヤがっているのに強引に彼女扱いしたりすれば、どー思うかな。ピーチ姫を助けようとするマリオのごとく、アンドロメダを救出したペルセウスのごとく、颯爽と古川アユミ姫を助けにくるに違いない。私はしがないオッサン塾講師だけど、そのときは精いっぱいエロ魔人、セクハラ帝王を演じて、丹野くんに成敗されてみせるさ」
「タクちゃんが気持ち悪い女装をする理由は、分かった。納得できないけど、理解はできる。でも、アユミちゃんのノーパンミニスカは?」
「それは、第一者の語られのためだ。シナリオ、最後の場面……そう、最後の一押しのときに使おうと思って。チアリーダー講座参加のお母さんたち抜き、古川さん一人だけで、ノーパンミニスカ動画を撮る。露骨に見えるより、見えそうで見えないくらいが、いいかな。丹野君の気持ちが、古川さんにグラッと傾く。けど、丹野君がいくら古川さんを好きになっても、古川さんのほうの気持ちがどうか分からない。丹野君としては、思い切って告白する前に、イエスという返事がもらえる、確証っていうか、手ごたえみたいなのが、欲しくなるんじゃないかな。で、その手ごたえを与えてやろうっていう親心だよ。ノーパンミニスカ動画のアクセスキーを、丹野君だけに教えるんだ。塾長に新しい振付創作を頼まれてるけど、こんなのはどーだろーって感じで、古川君が丹野君に相談する。すると、そこにはお色気満開の古川君がいる。丹野君が、あんまりデリカシーに気を使わない男なら、親しい友達には自慢するかもしれないね。オレには、オレにだけ気を許してくれる、こんな女の子がいるんだぜって感じで。そうでないなら、直接、古川君に語りかけてくるかもしれない。そんなエッチな恰好、オレ以外の男に見せるなよ、て感じで」
「シナリオは分かったけれど、オタク的な、語られとは、ちょっと違うような」
「それは、やってみれば分かるって。それともう一つ。わざわざノーパンミニスカを採用した理由だ。私も中高大と学生時代は陸上競技をやっていてね、実は丹野君の大先輩にあたる。で、短距離選手をやっていた経験から言うと、どーしても、女の子の胸より、お尻に視線がいっちゃうんだな。このスポーツの性質上、女性の胸はあんまり発達しないし、また、一般の応援客ならまだしも、チームメイトの胸をしげしげと観察するのは不作法ってもんだ。その点、下半身のほうは、走法の研究ってことで、堂々、見ることができる。短距離走をやってりゃ、身体の部位中、もっとも鍛え上げられる部位だから、選手の誰もがセクシーに発達させている部分だし、クラウチングスタートみたいに、堂々とかかげるシーンもある」
「結論。陸上競技のスプリンターのひとたちは、みんな、お尻フェチですか、庭野先生?」
「そうでないひとも、中にはいるだろうさ。でも、まさか丹野君に、君、女の子のお尻と胸と、どっちが好きかい? なんて聞けないだろうしさ。おおざっぱな推論を元にして、まずシナリオを組み立てるさ。万一、丹野君がうなじフェチだったり、脇の下フェチだったりするときには、細部で調整といきましょう」
一息つき、再びほうじ茶をすすっている間に、女の子二人の質問を受け付ける。
「どう? 古川くん」
「なんか、キツネにたぶらかされているような」
「アユミちゃん。それを言うなら、タヌキよ、タヌキ」
「決心がつかないなら、ウチの姪も脱がすけど?」
「絶対、イヤ」
「もういまさら。何度も見せてるのに。小学生の男の子みたいに貧弱肉薄で蒙古斑つきっぱなしの尻でも、私は全然気にしないよ」
「私のほうは、気にするよ。てか、どーしてそう、デリカシーがないのっ」
「男子校出身だからな。バンカラかつ豪快に、パンツの中身に興味があるのだ」
「私は共学高出身だからね。上品かつ繊細に、男子校特有のノリって、嫌い。てか、どうして私まで巻き込むのよ、タクちゃん」
「たんに、女の友情ってヤツを堪能したいだけさ。安心しろ。君のためにも、ちゃんとチアのユニホーム、作らせてある」
「用意周到だこと」
「だって桜子、川崎マキ君が背面アプローチをしたときには、イモ娘につきあって脱いだじゃないか。そんなに親しくない先輩のためにはパンツを脱いで、一蓮托生の親友のためにはノーパンにならないってのは、納得できないなあ」
「あの……庭野先生。でも、それって、シナリオの最後のほうに出てくるシーンなんですよね」
「最初にクライマックスを済ましておけば、途中、しんどい場面になっても、気持ちが折れないかなって、思って。君は自分のお尻が風邪をひく心配ばかりしているようだけど、私も満座に恥をさらす決心でつきあうわけで。恥ばかりさらして、結局、君が丹野くんとくっつかなかったら、目も当てられない。それに、報酬の意味もある」
「報酬、ですか?」
「女装して笑いものになったり、君をチアガール講座の研究生として宣伝したり、色々と犠牲を払う対価かな。まさかオカネは取れないし、その分、お尻をチラチラ堪能させてくれ。それに、これは君自身の決心の支えになるだろ。あんな犠牲を払ったのに……つまり、スケベなオッサンに生尻を見せちゃったのに、結果が得られなければ、ガッカリするぞってね」
「そうかなあ」
「フロイトが精神分析で患者さんから診療費をもらうときは、必ず、そのお医者さんと直接、面と向かって、現金を手渡しでって、決めていたそうだよ。これは、直接、報酬を渡すことで、患者さん自身に懐の痛みを自覚させ、絶対に直ってやるぞっていう決心を起こさせるため、なんだそうだ。相談を受ける側として、クライアントのやる気を持続させる方法って、実はそんなにない。ノーパンミニスカは、もちろん私の趣味と実益のためでもあるけれど、古川さん自身の忍耐力を支える柱の一つ、と思ってくれないかなあ」
「アユミちゃん。眉にツバをつけて、よく考えるのよ」
「そうよね、サクラちゃん。私……なんだか、だまされてるような気がする」
「やっぱり。私も、よ。なんだかだまされているような、感じだと思う」
「ほうほう、奇遇だな。実は私も、二人をだましてるような気がするのだよ」
三十分、侃々諤々の議論があった。
背に腹は代えられない。
「私、やっぱりレン君が好きだから」
シンプルな一言とともに、古川さんはパンツを脱いだのだった。
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