第299話 ようやく見えた真相・竜の呪い
*
当時を思い出してか、苦い表情のまま黙り込むスルト。
スルトの気持ちは分かるがこのままでは話が進まない。
せっかく過去に何があったのか、核心に迫っているというのに。
「悪いけど感傷に浸るなら後にしてくれ。その後どうなったか教えてくれ。」
リュースティアとて鬼ではない。
なるべくスルトの気持ちを汲んで優しく、それはもう優しく語りかけた。
だからそんな顔するのはどうかと思うんだ、、、、。
「コウガとクエレブレの戦いは三日三晩続いた。こんな事言ったらコウガは起こるだろうが、あいつらはどっちも化け物だな。どっちも引かずに戦っていたんだがクエレブレには弱点があるんだよ。」
竜はともかくそれと同等かそれ以上の強さを持つ人間って何なの?
それは化け物と呼ぶしかないだろ。
リュースティアは内心そんな事を思った。
そして自分自身もそんな化け物への道を確実に歩み始めているとも。
「弱点?古の魔王、それも竜にも弱点なんかあんのな。」
「そりゃそうだ。どんなやつだって完璧なわけないだろ。弱点の1つや2つあるってもんだ。」
そういってなぜか得意げになるスルト。
なぜお前が得意げになる?
「ふーん、じゃあコウガにも弱点ってやつあったんだ?」
最強の人間、まさに主人公のようなコウガにも弱点があるらしいと聞いて何となく安心するリュースティア。
少しだけコウガを身近に感じた。
「コウガかぁ、あいつに弱点なんかあんのか?少なくとも俺は知らんな。」
ハイ。
身近に感じたのは一瞬でした。
ほんと俺の存在意義って何なんだろう。
コウガが世界を救ってくれよ。
*
「クエレブレの話を続けてくれ。」
どうにか立ち直ったリュースティアは話の続きを促す。
「ああ、奴の弱点は逆鱗だよ。」
「触ると怒りだすやつか?」
「そりゃ弱点なんだから触られたら怒るだろうよ。まあともかく、コウガは逆鱗を狙って攻めればいいわけだ。クエレブレも当然そこに守りを固めるがな。攻めと攻撃に重点をおかなきゃいけなくなる。そうなりゃ当然コウガの方が有利に戦いを勧められるってわけだ。」
微妙に話がかみ合ってない気がするがまあいいか。
守らないといけないのはコウガも同じでは?と思ったが華麗にスルーしよう。
竜の一撃を喰らったら即死とか考えたらだめだ。
「あと少しで決着がつく、ってときっだったな。クエレブレはこのままでは勝てないと判断したのか、ヤマトの国に流れた自分の血を触媒に、殺された者たちを生贄に。竜の呪いを発動させやがった。」
「竜の呪い?」
「ああ、竜種の血に宿る膨大な魔力を触媒にした災厄の呪いだ。呪いの元となる竜の魔力量に比例して呪いの効果は強くなる。生贄の数や憎悪によっても変わるらしいが、詳しくは知らん。呪いの種類も複数あるって話だしな。」
竜の呪い、どっかで聞いたワードだな。
それよりも、魔力の量に比例するだと、、、?
「ああ、古の魔王の名を持つ竜だ。クエレブレの呪いは世界を滅ぼすほどの規模だった。それにあいつは残り僅かな魔力に自分の魂も呪いの力に変えやがった。」
リュースティアの考えが顔に出ていたのか、スルトが最悪な想像を肯定した。
世界を滅ぼすほどの呪い。
ここまでくればコウガがなぜこうなったのか鈍感なリュースティアでも察しがつくというものだ。
「コウガはその呪いを一身に引き受けたってことか。」
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