第296話 コウガと赤き竜

まぁいい。

とりあえずめんどくさそうなことは置いておこう。

転生者云々とかは考えたってわからないだろうし、今はあまり気にしている時間はない。


今、俺にとって重要なのは何か?

もちろん生き延びる事。

その為にはアルを止めなければいけない。

あいつを長年の苦しみから解放してやれるのは俺しかいない。

だけど、俺はあいつと戦えるのか?

あいつを、あいつの想いを知って、それでもあいつを俺は殺せるのか?

世界の為に?

それとも俺自身が生きる為に?




「それで竜とはどういう関係なんだ?竜が原因でこうなったって言ってたがそこら辺を教えてくれ。」


リュースティアは考えるのを止めた。

問題の先送りにしかならないが今すぐに答えを出せという方が無理だ。

俺にはそんな覚悟なんてない。


「あーっとな。何でも転生者?ってやつはみんな何かしらのスキルを神からもらった奴ららしくてな、この世界に及ぼす影響がでかいんだよ。」


それはそうだ。

俺の創造やコウガの干渉などがいい例だろう。

スキルや魔法がある世界で神から授かるスキルの及ぼす影響は大きい。

それも転生者の持つユニークスキルなど使い方次第で世界を滅ぼしかねない。


「それでコウガはその力を利用されないように転生者を保護してたんだよ。転生してきた奴らも元の世界との違いにうまくなじめなかったりしたしな。」


なるほど、それでコウガは積極的に転生者を探していたのか。

なんかいいやつ過ぎないか?

まるでどっかのラノベの主人公みたいなやつだな。


「今この巨人の里で預かっている人族がその転生者たちの子孫にあたるな。特別なスキルなんかを持っている奴らは稀だが独特の剣術なんかを習得してるからそれなりに強いぜ。それに俺が鍛えているかな。」


最後のスルトの言葉は聞き流す。

やっぱり転生者たちの子孫だったのか。

独特の剣術って、、、、、。

まぁいい、ここはツッコんだら負けだ。

それよりコウガはどうやって転生者の来訪を知れたんだ?


「なんつってたかな。空間に干渉して歪みを検知する、だったか?だがかなり魔力を消耗するらしくて常時発動はできなくてすぐに見つけられないこともあったらしいな。その場合でも世界に干渉して検索できるとか言ってたからあいつのスキルもたいがいだよなー。」


おい!

しれっと言っているがかなりやばいことやってないか?

空間?

世界に干渉?

それは人間に許された行為なのか?

もはや神の域に達してる気がするんだが。

もうさ、コウガが救世主でいいじゃん。

俺の存在意義って、、、、、。


あー、なんか視界が曇ってきた。

うん、今日も空が青いなー。


「そんでそんな転生者に目を付けたのが太古から存在する古の魔王赤き竜、クエレブレだったんだよ。あいつが手を出し始めてから何度もコウガや俺たちの邪魔してきやがってな。本気でやり合うとどっちかが死んじゃうからいつもそこそこでどちらかが引いてたんだけどな。結局はこのざまだ。」


ちょっと自分の存在意義を見失い現実逃避をしていたリュースティアの耳にようやく本題とも言えるワードが飛び込んできた。

急に頬を叩かれえたように現実に戻されれるリュースティア。


ようやく本題かよ。

前置きがなげぇ。


内心そんなことを考えていたのは内緒だ。



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