第293話 ちょっと休憩


*「おい、さっさと話せよ。じゃないとクッキーのおかわりはやらん。」


勝手にお菓子を頬張り、おかわりを催促しながらながら1人で満足した様子のスルトにリュースティアは言う。

確かにコウガとスルト云々の話は想像以上に濃い内容だったことは認めよう。

俺が話し手だったら途中で挫折していたかもしれない。


だが、しかし!


おそらく、多分、だが確実に重要であろう話を聞いていない。

コウガとスルトの身に何が起きたのか。

今の状況は一体どういうことなのか。

それがわからない限り現状をどうにかすることもできなければあいつへの対策も考えられない。

まあ、あいつの方は何となくだが俺がすべきことは分かっている。

そこに俺やあいつの意思は関係ないのだろう。

スキルに、いや、神によって運命づけられていたとでもいうべきなのだろうか。


「へいへい、リュースティアはせっかちだっつうの。少しくらい休憩したっていいだろ。俺は見ての通りヘロヘロだ。、、、、、、、、おい、無視すんなって。」


物思いにふけっていて反応に遅れた。

それにしてもめんどくさい彼女かよ。


「ああ、悪い。考え事してた。ケーキをワンホール平気で平らげるような奴はヘロヘロとは言わないな。それにそのケーキは疲労回復の効果付きだ。疲れてるなんて言わないよな?」


「お、お前は悪魔か⁉」」


何を人聞きの悪いことを。

疲れているであろうスルトを労わった結果じゃないか。


「ほら、続きだよ。続き。さっさと話さないといつ紅茶が毒に変わるか知らないぞ?」


にっこり。

それはもうにっこりと。

満面の笑みでリュースティアはスルトに向き合う。


少しふざけたが俺には、いや、俺たちか。

俺たちには時間がないんだ。


だからスルトの話が必要なんだ。



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