第7章 スルトとコウガ
第288話 それから
*
「んで、そのあとに色々あって今の状態に落ち着いたって訳だ。」
そう言ってどこか遠い目をしたスルトが話を締めくくる。
過去を懐かしむかのように。
もう会う事のない友を想うかのように、、、。
「いやいやいや、ちょい待ち。何もう話し終わった感出してんの?」
感慨に浸っているところ悪いが結局、お前は誰やねん⁉
今のはあくまで”コウガ”の話だ。
肝心のスルトとの繋がりが見えてこない。
それにクエレブレとの闘いについても。
そして目の前の棺の中で横たわっている人物と目の前で感傷にふけっている人物。
「おお、そうだな。そんでコウガはヤマトを作って俺と出会った。そんで色々あって今に至る。」
「おい!」
追加情報:コウガがヤマトを作った。
いや、それに関しては知ってるわ。
というか割と最初の方にそんな話してたやろ。
それよりももっとさぁ、あるじゃん?
何がどうなってこうなったとかさ。
「ヤマト云々からはスルトとコウガの共通記憶だからさぁ。」
しれっと大事なこと言ってね?
なに、共通記憶って?
もしかして目の前の人物ってコウガでもありスルトでもあるってことか?
んー、よくわからんがそれよりも聞いておきたいことがある。
「・・・・・・本音は?」
フイ。
あっ、こいつ視線逸らしやがった。
「スルト?」
満面笑みでスルトの正面を見据える。
もちろん影で固定し、スルトが視線を逸らせないようにすることも忘れない。
ありがとう、レヴァンさん。
「・・・・正直めんどいなと。」
観念したスルトが本音をこぼす。
まぁわかるよ?
コウガの話だけでかなりの時間使ってるし。
内容も濃いもん。
けどさ、そういう問題じゃないよね?
「ははは、めんどいか。そうだよね、そりゃそうだ。」
「いやー、ほらコウガだけでも数千年は生きてるわけでありまして、、、、、、。」
冷や汗をだらだらと流しながら弁明に走るスルト。
リュースティアからにじみ出る殺気が段々と強くなっていることを敏感に感じ取っているのだろう。
さすが古の魔王の一席を担うだけはある。
感度は良好。
「うし、歯ぁ食いしばれ。」
スルトの弁明も虚しく、血の海に沈んだことは言うまでもない。
夜はまだまだ長そうだ。
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